2020 Fiscal Year Research-status Report
High dimensional analysis of neurovasculature to reveal molecular mechanism of aged or neurodegenerative brain
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19K07831
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
福原 武志 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (20359673)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イムノトキシン / イムノリポソーム / 機能性抗体 / 炎症血管 / モノクローナル抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで血管を標的とした機能性抗体の探索や評価を進めてきた実績を元にして、老化マウスやPARK2KOマウスにおける血管系の異常を解析することを研究目的としている。老化コホートの加齢は進行したが、PARK2/PRKN KOマウスに生存や運動異常等の異常な表現型は外見上観察されなかった。従来の報告と類似しており結果は再現されていると考えられた。2020年度内に、PRKN変異マウスに関してミトコンドリア障害に伴う炎症マーカー(Borsche M et al., 2020 Brain)や細胞周期制御(Sarraf SA et al., 2020 Cell Rep.)など報告され、Youleらが報告した過剰運動にともなうSTING経路の過剰炎症応答(2018 Nature)を支持すると考えられる。これら実験系はいずれも急性炎症応答を観察したもので、加齢やPD病態の発症メカニズムを理解するには十分ではない可能性があるが、責任細胞としてミエロイド系細胞が想定され、PD病態に関するミエロイド系細胞の挙動や集積等に関する知見と合致する点もあり重要である。加齢や慢性炎症による発症メカニズムを理解する切り口として大事であり、知見をまとめ報告した(Fukuhara et al, 2020 Bio Clinica)。加齢に関する知見は未報告であるため、本研究の意義は存続していると考えられる。脳腸連関など末梢臓器と脳の相互作用においてミトコンドリア障害を起点とした急性的あるいは慢性的な炎症刺激がPD発症を惹起すると考えられるため、本年度からロテノンを経口投与した反応を解析することが進めたが、現在までに大きな差を認めていない。 年度の途中で理化学研究所脳神経科学研究センター神経変性疾患連携研究チームへ異動が決定し、現在はラボの立ち上げが進行中であり、2拠点を行き来しながらの研究推進を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度の途中で理化学研究所脳神経科学研究センター神経変性疾患連携研究チームへ異動が決定し、現在はラボの立ち上げが進行中であり、2拠点を行き来しながらの研究推進を行なっている。マウスの新しい所属への移送が計画されているが、予算やさまざまな事情により来年度に行う予定である。来年度は、マウスを移送して解析を継続する予定である。脳神経科学研究センターでは所内でシングルセルRNA-seqの支援サービスがあるため、当該課題でのより詳細なトランスクリプトーム解析を想定して、特に脳の特定領域に限定した詳細な解析について、来年度に新所属のインフラを利用して行う予定である。 本年度は、トランスクリプトーム解析としてマイクロアレイを用いた全脳解析を計画し、より限局された領域に特化して解析する必要性が提示された。あるいはCD31磁性ビーズを利用した全脳から血管細胞をバルクソーティングした細胞集団について解析が必要と考えられた。詳細な動物行動試験は行っていないものの、運動異常などは目視で観察されないため、平時のマウスについて解析を行うには脳領域が定まらない。そこで本年度は、当該課題で目的とした炎症血管を解析する目的で、ロテノンを経口投与したマウスに対する解析を進めた。加齢個体あるいは薬物投与によるPDモデルに対して市販のCD54抗体、CD106抗体あるいは独自に単離したCD321抗体や新規抗体で進めているが十分な知見は得られていない。引き続き解析を進める予定である。一方で他の疾患神経変性を示すモデル動物では差が見られた抗原もあるため、モデル特有の病態差が反映されているか更なる検討が必要である(未発表)。また血管を標的化する新規抗体T29の特性について解析し、新規解析ツールとして期待できるイムノリポソームについて成果発表した(第93回日本生化学会オンライン発表、および原著として2本の英語論文の発表)。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、理化学研究所にて研究を推進する。研究室の立ち上げに伴う施設承認および機関による動物実験計画の承認許可等を進めている状況にある。機材搬送およびマウスの搬送を随時計画しており、利用可能な状況で研究を開始する。新規抗体T29の解析にともないT29抗体を架橋したイムノリポソームの血管内皮細胞への選択的な取り込みが明らかとなり、炎症刺激による取り込み制御も予備的な結果として得られた。既に報告した抗CD321抗体(90G4)については、試した全ての血管内皮細胞株に発現するパターンが確認された一方で、T29抗体は、異なる臓器に由来する血管内皮細胞ごとにT29抗体の反応性に差もみられた。そこで新たに開発したイムノリポソームをツールとして用い、病巣血管の特定を試みるとともに、トランスクリプトームによる解析を行う。血管またはミエロイド系細胞における特徴的な遺伝子(群)を明らかにする。またミトコンドリア障害を誘導するロテノンやMPP+を投与する解析系については、in vitroでの実験も進める。In vivoにおける投与濃度と臓器障害性との関係は、引き続き免疫組織化学染色等により検討する必要がある。 研究機関の移籍に伴って、動物実験施設の利用可能スペース(ケージ数)が飛躍的に上昇した。そこで代替案として、すでに報告しているが、より有望と考えられるアルファシヌクレイン凝集体を投与したPDモデル(Okuzumi et al., 2018 )を活用する計画がある。PARK2遺伝子は若年性パーキンソニズム(AR-JP)の臨床遺伝学的な解析から単離された一方で、変異動物は1年を経過しても特筆すべき異常を示さない。臨床的にはレビー小体を認めるシヌクレイノパチー孤発性患者の疾患バイオロジーを理解することがより重要と考えられるため、最終年度には今後PDの病態メカニズムを理解する新たな方策も推進する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Anti-CD321 antibody immunotherapy protects liver against ischemia and reperfusion-induced injury.2021
Author(s)
Enzhi Yin, Takeshi Fukuhara, Kazuyoshi Takeda, Yuko Kojima, Kyoko Fukuhara, Kenichi Ikejima, Hisashi Bashuda, Jiro Kitaura, Hideo Yagita, Ko Okumura, Koichiro Uchida
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 6322
Pages: 1-10
DOI
Peer Reviewed
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