2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K07833
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
尾身 実 藤田医科大学, 医学部, 助教 (00400416)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 神経発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
バルプロ酸は胎児期において神経管形成不全を引き起こす催奇性物質であり、バルプロ酸の作用機序を明らかにすることは、先天的な発生異常である神経管形成不全の仕組みを明らかにすることに資すると考えられる。 これまでに、バルプロ酸により発現量の変動する遺伝子を探索し、いくつかをバルプロ酸作用を介在する候補と考えその作用を調べた。そのうちのひとつに着目し強制発現したところ、バルプロ酸を作用させたときと同様の、神経細胞数が減少する傾向が見られた。 そこで、この作用が細胞死を引き起こしていることによるものかについて、LDHアッセイを行い検証した。まずバルプロ酸を作用させてLDHアッセイを行ったところ、バルプロ酸の濃度に依存して測定されるLDHの活性が高くなっていた。これは細胞死が起こっていることを表しており、バルプロ酸によって細胞死が誘発されていることが分かった。つづいて、着目遺伝子を強制発現させ、同様にLDHアッセイを行ったところ、強制発現をした場合にも測定されるLDHの活性が有意に高いという結果が出た。したがって、着目遺伝子はバルプロ酸の下流で、細胞死を誘発することに関与している遺伝子であることが示唆された。アポトーシスによる細胞死では、多くの場合カスパーゼが関与し、プロカスパーゼが切断されて活性型となる。そこで、活性型カスパーゼについてウェスタンブロッティングを行って調べた。その結果、実行型カスパーゼ3およびエフェクターカスパーゼ9ともに活性型は検出されなかった。したがってこの細胞死はアポトーシス型ではない可能性も考えられるが、3と9以外のカスパーゼの活性も調べる必要がある。細胞死にはアポトーシスの他にネクローシス、ネクロトーシス、オートファジーなどさまざまな様式があり、今後はアポトーシス以外の可能性も考慮しつつ、バルプロ酸の作用を解析し、神経管形成不全の機構に迫っていく。
|
Research Products
(2 results)