2021 Fiscal Year Annual Research Report
トキソプラズマ再活性化と神経炎症の増悪サイクルに対するオトギリソウ属の薬草の効能
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19K07839
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新庄 記子 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任研究員(常勤) (60794039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野呂瀬 一美 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任准教授 (30156244)
彦坂 健児 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (30456933)
吉田 裕樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (40260715)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 感染症 / トキソプラズマ / 神経系 / 寄生虫 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
トキソプラズマ症は、寄生性原虫トキソプラズマによる日和見感染症であり、宿主免疫不全における重篤な症状が問題となる。特に本原虫は好神経性であるため、脳神経系における慢性感染が様々な精神神経疾患を誘発すると考えられているが、慢性感染の治療法は確立していない。また、母体への感染が胎児に重篤な障害を及ぼすTORCH症候群の原因病原体の1つであり、有効で安全な治療薬の開発が求められる。本研究では、抗神経炎症作用や抗病原体効果など複数の薬効の期待される薬用植物オトギリソウ(Hypericum erectum)とその同属植物西洋オトギリソウ(Hypericum perforatum)に注目し、in vitroトキソプラズマ感染モデルにおいて、これらの薬用植物抽出物およびその主要成分の抗トキソプラズマ作用を検討した。 その結果、オトギリソウ抽出物はトキソプラズマ増殖を阻害し、また腸管寄生虫であるアメーバのシスト形成阻害効果も認められ、本薬用植物の抗寄生虫薬としての可能性が示唆された[1]。さらに、西洋オトギリソウ抽出物とその主要成分Hyperforinはグリア細胞感染モデルにおいて顕著にトキソプラズマ増殖を阻害し、炎症応答阻害作用、神経細胞死抑制効果を示した[2]。また、マウスにおけるin vivoトキソプラズマ慢性感染モデルの脳において、補体系第二経路の持続的活性化が起きること、またそれが脳実質マクロファージであるミクログリアの活性化に依存することを示した[3]。 1.Shinjyo N. et al. (2020) J Nat Med. 74(1):294-305. 2.Shinjyo N. et al. (2021) J Ethnopharmacol. 267:113525. 3.Shinjyo N. et al. (2021) Front Immunol. 11:603924.
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Research Products
(17 results)