2020 Fiscal Year Research-status Report
Rifampicinのドラッグリポジショニングによる認知症の進行抑制
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19K07847
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
梅田 知宙 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (70549790)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症進行の抑制 / リファンピシン / ドラッグリポジショニング |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、”すでに発症している”認知症の進行を抑制可能な薬剤の開発を目指し、本研究課題では、既存医薬品リファンピシンの有する抗認知症薬効が、認知症の症状進行の分子機序である「tau病理の脳内伝播」をも抑制可能であることを示したい。初年度には、マウスの片側海馬実質へAD患者脳抽出物を注入することで、tau病理伝播マウスモデルの作製に成功し、このモデルマウスへのリファンピシン投与によって、認知機能障害が抑制されたことを示した。そこで2年目の今年度においては、これら病理伝播モデルおよびリファンピシン投与マウスの脳内病理について解析を行った。
その結果、病理伝播モデルでは、神経細胞の細胞体における異常リン酸化tau封入体の形成、およびtau oligomer蓄積が観察された。これらのtau病理は注入側だけでなく反対側にも生じており、注入によって引き起こされたtau病理が脳の反対側領域にまで伝播したことが示された。さらに、海馬mossy fibersにおけるシナプス脱落も両側において生じており、tau病理の伝播にともなってシナプス消失も拡大しものと考えられる。そしてこれらの神経病理はリファンピシンの投与によっていずれも抑制されていた。
以上の結果は、注入されたAD脳抽出物により誘導されるtau病理の伝播およびシナプス病理の拡大が、リファンピシンによって抑制され、その結果病理伝播モデルマウスでみられる認知機能の低下がリファンピシン投与マウスでは抑制されたものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、初年度には培養細胞系を用いたtau病理伝播へのリファンピシン薬効の確認を行う予定であったが、病理伝播モデルマウスの作製が早期に成功しため、in vivo試験が早期から可能となった。その結果、認知機能障害を示すtau病理伝播マウスモデルの確立と、in vivoにおけるリファンピシン投与の認知機能保護能を、初年度ですでに確認できた。2年目である今年度は、その病理解析によってリファンピシンの病理伝播抑制作用を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
病理解析を完了し、論文執筆、投稿を行いたい。
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