2020 Fiscal Year Research-status Report
The pathophysiology of neurodegenerative diseases on inositol polyphosphates
Project/Area Number |
19K07851
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
永田 栄一郎 東海大学, 医学部, 教授 (00255457)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | イノシトール6リン酸キナーゼ / イノシトール7リン酸 / 筋萎縮性側索硬化症 / 神経細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 哺乳類におけるIP6、IP7の各臓器における分布 野生型マウスに関して、各臓器のIP6、IP7を測定した。測定した臓器は、脳、脊髄、肺、心臓、胃、腎臓、十二指腸、小腸、大腸、精巣、脾臓、肝臓、膵臓に関して測定を行った。その結果、以前より報告のあった中枢神経系(大脳、小脳、脊髄)に加えて、消化管系(胃、十二指腸、小腸、大腸)のIP6、IP7の含有量が、両方とも中枢神経系と比較しても10倍近く多く検出された。この点に関して、消化管系のどの細胞で多く産生されているかについてIP6をIP7にリン酸化する酵素であるイノシトール6リン酸キナーゼ(IP6K)(特に哺乳類には3つのサブ対応がある(IP6K1、IP6K2、IP6K3))の抗体を用いて免疫組織を行た。さらに現在、以前より我々が所有しているIP6K2ノックアウトマウスに関して、野生型マウスと同様に各臓器でIP6、IP7の含有量を測定している。 また、マウス食物中にもIP6、IP7が含有しているために、絶食マウスを用いて、消化管内在性のIP6、IP7を測定した。さらにIP6K阻害薬であるTNPをマウスに投与してIP7の産生が抑制されることを確認した。 ② 神経変性疾患、特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者におけるIP6、IP7、IP6Kの検討 ALS患者剖検凍結脊髄を6症例得ることができた。頸髄と腰髄でIP6、IP7を測定したところ、IP6、IP7が非常に多く含有していることが明らかとなった。さらに血液中の白血球に多くIP6、IP7を含有することが明らかとなった(赤血球や血清にはほとんど存在しない)。ALS患者および年齢をマッチさせたコントロールにおいて末梢血20mlを採取して、そのIP6、IP7を測定したところ、ALS患者でIP6、IP7とも有意に多く含有しており、IP7/IP6の比もコントロールと比較してALSで上昇していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に神経変性疾患、特にALSの細胞内凝集体(TDP-43)におけるイノシトール6リン酸キナーゼの細胞間伝搬に関する研究するために、マウス動物モデルの脳内にTDP-43凝集体を注入して、細胞間伝搬を観察する予定であったが、このコロナ禍で、実験機器の搬入および共同研究者のわが大学への来訪が困難なために研究がストップしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、さらなる筋萎縮性側索硬化症患者の剖検凍結脊髄を得るために当大学入院中の患者はもとより、他施設(日本ブレインバンクネットワークなど)の所有のもを供給してもらうために新たに申請している。何とか細胞間伝搬実験を行うために、リモート会議などをして、少しずつ研究を進めている。
|
Causes of Carryover |
予定していた実験が一部コロナ禍でできなかったために、次年度繰り越して行う予定なので、使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)