2020 Fiscal Year Research-status Report
老化関連疾患としての肺気腫に対するLTBP-4の抗炎症・抗老化作用の解明
Project/Area Number |
19K07862
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 正紀 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20724438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 泰弘 自治医科大学, さいたま医療センター, 教授 (60376473)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | LTBP4 / 肺気腫 / エラスチン / MMP / 肺弾性収縮能 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴う弾性線維の減少や変性は、皮膚の弾力低下や、肺気腫や動脈中膜硬化などの直接原因となる。特に、弾性線維のミクロフィブリルに存在することが知られているLTBP-4(latent transforming growth factor binding protein-4)のノックアウトマウスの肺では、肺気腫の表現型を呈することがすでに知られている。同遺伝子は、近年in vitro で弾性線維形成促進能が報告され、変異はヒト肺気腫合併Cutis laxa (皮膚弛緩症)の原因とされるがヒト肺気腫形成との関係は不明である。肺の弾性線維におけるエラスチンや膠原繊維の主体であるコラーゲンは、MMPsなどによる分解により、肺気腫が誘発されることが知られているが、LTBP-4とエラスチンやMMPsとの相互作用については、現在のところ明らかではないため、ヒト肺線維芽細胞(L299)を使用し、肺弾性収縮力の検証として、コラーゲンベースの細胞収縮アッセイを用いて、LTBP-4ノックダウンに伴う細胞収縮活性について評価したところ、収縮能は優位に低下していた(p<0.05)。L299を使用しsiRNAを用いたLTBP-4発現制御により、LTBP-4とelastinとの相互作用やLTBP-4における抗炎症・組織保護効果の検証として、 LTBP4やelastinの免疫染色の他、 Th1サイトカイン (MIP-1、IP-10、 MCP-1、MIP-2など) やMMPs (MMP-1、MMP-2、TIMP-1など) 、エラスチンの発現につきRT-PCRを施行したところ、エラスチンは低下し、MMP-1、MMP-2、TIMP-1の増加を認めた。また、培養上清を用いたエクソソームによるプロテオーム解析では、スーパーオキシドジスムターゼの低下を認めており、LTBP4と抗酸化作用との関連が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来予想していたLTBP4の肺弾性収縮能の関する検討だけでなく、抗酸化作用の可能性についても結果が出てきている。引き続き、予定通りの研究内容と、LTBP4の抗酸化作用に関する新たな可能性についても研究を進めていくことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、培養上清を用いたエクソソームのプロテオーム解析により、LTBP4における抗酸化作用のメカニズムについても進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度における研究人員の勤務時間の軽減が生じたため、次年度使用額が増額した可能性があると考えられる。今後は、物品購入も含め計画性をもって対応させていただく予定である。
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