2021 Fiscal Year Research-status Report
老化関連疾患としての肺気腫に対するLTBP-4の抗炎症・抗老化作用の解明
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19K07862
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 正紀 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20724438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 泰弘 自治医科大学, さいたま医療センター, 教授 (60376473)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | LTBP4 / 抗炎症作用 / 抗酸化作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴う弾性線維の減少や変性は、皮膚の弾力低下や、肺気腫や動脈中膜硬化などの直接原因となる。特に、弾性線維のミクロフィブリルに存在することが知られているLTBP-4(latent transforming growth factor binding protein-4)のノックアウトマウスの肺では、肺気腫の表現型を呈することがすでに知られている。同遺伝子は、近年in vitro で弾性線維形成促進能が報告され、変異はヒト肺気腫合併Cutis laxa (皮膚弛緩症)の原因とされるがヒト肺気腫形成との関係は不明である。肺の弾性線維におけるエラスチンや膠原繊維の主体であるコラーゲンは、MMPsなどによる分解により、肺気腫が誘発されることが知られているが、LTBP-4とエラスチンやMMPsとの相互作用については、現在のところ明らかではない。 本実験では、ヒト肺線維芽細胞(L299)を使用しsiRNAを用いたLTBP-4発現制御により、LTBP-4とelastinとの相互作用やLTBP-4における抗炎症・組織保護効果の検証したところ、siRNAでは、エラスチンは低下し、MMP-1、MMP-2、TIMP-1の増加を認めた。 また、培養上清を用いたエクソソームによるプロテオーム解析では、siLTBPにおいてスーパーオキシドジスムターゼの低下を認めた。また、RT-PCRでは、siLTBPにおいて、Nrf、SOD、GSTMなどの抗酸化作用を持つ酵素の低下が認められ、また、siLTBPに対し、N-アセチルシステイン(NAC)をsiLTBPに添加することで、濃度依存的にこれらのNrf、SOD、GSTMなどが回復することも確認できた。以上により、LTBP4における抗酸化作用との関連も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来予想していたLTBP4の肺弾性収縮能の関する検討だけでなく、LTBP4の抗酸化作用の可能性についても示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マウスを用いて、肺組織におけるLTBP4の肺弾性収縮能の関する検討とLTBP4の抗酸化作用の可能性についても検証していく方針である。
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Causes of Carryover |
これまでの実験計画と実績のほか、追加の実験の施行も必要であり、次年度の使用額使用による継続が必要と考えられた。主に物品費や人件費として使用予定である。
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