2022 Fiscal Year Annual Research Report
老化関連疾患としての肺気腫に対するLTBP-4の抗炎症・抗老化作用の解明
Project/Area Number |
19K07862
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 正紀 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20724438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 泰弘 自治医科大学, 医学部, 教授 (60376473)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | LTBP4 / 肺気腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺気腫の原因遺伝子の一つとして、Latent transforming growth factor beta binding protein 4(LTBP4)が知られており、その変異はヒト肺気腫合併の皮膚弛緩症の原因として全身性老化を示す老化関連疾患と考えられている。本研究では、ヒト肺線維芽細胞を用いて、肺気腫に対するLTBP4の抗老化関連因子の可能性につき、抗炎症および抗酸化作用の観点から検証した。ヒト肺線維芽細胞(L299)を使用し、LTBP4のノックダウンを行い、elastinや各種炎症性サイトカインの動態についてRT-PCRを施行した。また、肺弾性収縮力の検証として、コラーゲンベースの細胞収縮アッセイを用いて、LTBP4発現抑制に伴う細胞収縮活性について評価した。そのほか、細胞培養液上清から抽出したしたエクソソームについてショットガン解析を行い、LTBP4の抗炎症および抗老化作用に関連する可能性のあるタンパクの網羅的検討を行った。LTBP4発現抑制に伴い、elastinの発現が低下する一方、TNF-αやMMP-12、TIMP-1も増加を示した。また、細胞収縮活性も低下し、SA-βgal 染色で陽性率が増加した。さらに細胞培養液上清中のエクソソームについてショットガン解析により、LTBP4における酸化還元酵素(SODおよびGSTM3)のへ関与が認められ、RT-PCRでもLTBP4発現低下に伴うSODおよびGSTM3の発現量は減少したが、recombinant LTBP4やNACの添加により、それぞれの発現量の回復を認めた。 LTBP4は、肺弾性線維形成におけるelastinとの相互作用だけではなく、炎症や酸化を通じた細胞老化の観点から、肺気腫進展予防における肺組織保護の重要な因子でありうることが示唆された。
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