2023 Fiscal Year Annual Research Report
本邦CLLの病態解明に基づく簡便な新規診断法の確立
Project/Area Number |
19K07863
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
瀧澤 淳 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70463990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 博仁 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30312846)
大島 孝一 久留米大学, 医学部, 教授 (50203766)
河本 啓介 久留米大学, 医学部, 助教 (60791481)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CLL / CLLRSG-01 / Typical CLL / Atypical CLL / IGHV / TP53 / CD13 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国で希少疾患である慢性リンパ性白血病(CLL)の実態を明らかにするために、国内47施設で実施した前方視的登録研究(CLLRSG-01)の最終解析を行った。登録症例の中で末梢血塗抹標本による形態診断とフローサイトメトリーによる免疫形質解析、さらに病理組織診断により、119例がCLLと最終診断された。これら日本人CLL119例の特徴を明らかにした。他国と同様の自然乾燥塗抹標本による形態診断の結果、FAB分類によりTypical CLL 90例とAtypical CLL 29例に分類された。Atypical CLLの頻度は24%であり、欧米から報告された頻度と同等であることが明らかになった。通説とされていた日本人CLLに形態的なAtypical CLLが多いという概念は、日本特有の強制乾燥塗抹標本を用いた形態観察の結果、細胞が大きい状態で固定されていたものを観察していたためであることが示唆された。次に、Typical CLLとAtypical CLLの特徴を比較したが、Atypical CLLでMatutesスコアが低く、CD13発現例が多いという免疫形質の違いを除いて、臨床像del(17p)/TP53欠失などの染色体/遺伝子異常に有意な違いは認められなかった。近年CLLの病態や治療研究に際して、形態的なTypival CLLとAtypical CLLを分けて議論されることが少なくなっているが、それが妥当であることも確認できた。日本人CLL患者全体の特徴として、予後良好とされるIGHV遺伝子変異例が80%と白人患者に比べて高頻度であることが明らかになった。また、使用されるIGHV遺伝子の種類は、他の東洋諸国と同様でIGHV1の頻度が低く、選択される遺伝子のパターンが欧米と異なることが確認された。以上について論文化して、IJH誌に発表した。
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