2020 Fiscal Year Research-status Report
Significance of manipulative treatment of acupuncture as stimulation method: Its scientific relevance to therapeutic effect.
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19K07867
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大田 美香 神戸大学, 医学部附属病院, 学術研究員 (20274706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 裕 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (20332281)
鈴木 高史 神戸常盤大学, 保健科学部, 教授 (70305530)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鍼刺激 / 手技 / ミオスタチン / クレアチンキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
鍼治療では鍼刺激の技術を多様化させることで、治療対象を広げ、多様な治療を可能にしてきた。鍼刺激方法の手技には、切皮(せっぴ)、単刺(たんし)、旋捻(せんねん)等の治療方法がある。その他に、装置を用いた刺激として、鍼通電刺激、レーザー鍼(低出力レーザー・連続波)、フェムト秒レーザー鍼(超短パルスレーザー)という方法も存在する。鍼治療では鍼刺激の手技の選択に関する基準はなく、治療者の経験に基づく選択に委ねられているのが現状である。鍼治療時に、鍼刺激の手技を選択する一定の基準が必要である。そこで、本研究では、多種類の鍼刺激の方法が骨格筋に及ぼす効果を明らかにする。 本年度は、近交系の8週齢C57BL/6J系雄性マウスをコントロール群、単刺群、鍼通電群、旋捻群に分け、麻酔下で各刺激を行った。各刺激の5時間後に、採血と刺激部位の下腿三頭筋の摘出を行い、解析に供した。血清クレアチンキナーゼや骨格筋のミオスタイン遺伝子の発現を指標として比較解析した。その結果、血清クレアチンキナーゼ活性は、単刺群が他群と比べて有意に高い活性となり、骨格筋の損傷程度が大きいことを示した。単刺群以外の各群はコントロール群と同レベルであった。次に、骨格筋のミオスタチン遺伝子の発現は、コントロール群と比較し、単刺群と鍼通電群で有意に低下した。一方、旋捻群はコントロール群との有意な差はなく同レベルであった。今後も引き続き解析を進め、順次論文投稿していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、単刺刺激、鍼通電刺激、旋捻刺激が骨格筋に及ぼす効果について解析した。 具体的には、1年目と同様に、近交系の8週齢C57BL/6J系雄性マウスを用いた。麻酔下マウスの下腿部を脱毛し、単刺刺激、鍼通電刺激、旋捻刺激を行った。単刺刺激ではステンレス鍼(0.16 mm径)を骨格筋まで刺入し、その操作を30ケ所に行った。鍼通電刺激では、下腿三頭筋の起始と停止部位にステンレス鍼(0.16 mm径)を2本刺入し、針電極低周波治療器(Ohm Pulser LFP-4000A、(株)全医療器)を用いて、出力5V、パルス幅0.2 msec、双方向パルス波で、15分間鍼通電刺激を行った。旋捻刺激では、筋膜までステンレス鍼を刺入し、左へ10回旋回と右へ10回旋回をセットとし、30ケ所に刺激した。無刺激の麻酔マウスをコントロール群とした。各刺激の5時間後に、採血と刺激部位の下腿三頭筋の摘出を行い、以後の解析に供した。血清クレアチンキナーゼは、血液から血清を分離しJSCC Transferable Methodを用いて測定した。次に、ミオスタチ遺伝子の発現は、下腿三頭筋から全RNAを抽出した後にcDNA合成し、TaqMan Gene Expression Assay (Thermo Fisher Scientific社)を用いてリアルタイムPCR解析した。その発現量は内在性コントロールであるGAPDH遺伝子の発現量を用いて補正した。 その結果、血清クレアチンキナーゼ活性は単刺群が他群に比べて有意に高く、骨格筋の損傷程度が大きいことを示した。ミオスタチン遺伝子の発現では、コントロール群と比べ、単刺群と鍼通電群で有意に発現が低下した。旋捻群では、コントロール群と有意な差はなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、これまでの解析を引き続き行い、特に旋捻刺激の効果について解析する。本年度に実施した旋捻刺激の解析結果から、より詳細な旋捻刺激の解析が必要になった。 (1)刺激方法:切皮+旋捻群を追加する。麻酔下でマウス下腿部を脱毛し、切皮後にステンレス鍼を左へ10回旋回と右へ10回旋回を1セットとし、30ケ所に刺激する。コントロール群は、無刺激とする。 (2)解析方法:各刺激の5時間後に、採血と刺激部位の下腿三頭筋の摘出を行い、解析試料を作成する。血清クレアチンキナーゼの測定、骨格筋のミオスタチ遺伝子の発現解析、骨格筋の組織解析の解析系を用いて、刺激が骨格筋に及ぼす効果を評価する。 (3)統計解析:無刺激、切皮刺激、フェムト秒レーザー鍼刺激、単刺刺激、鍼通電刺激、2種類の旋捻刺激で得られた全データについて、一元配置分散分析を用いて、Tukey-Kramer法で多重比較検定を行う。
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Causes of Carryover |
令和2年度に予定していた実験計画が順調に進展した。来年度に予定している実験を今年度中に開始可能な状況となった。研究を更に進展させる為に、実験に使用する試薬等を購入し、研究を進めることが必要であると判断し、前倒し支払請求をした。
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Research Products
(2 results)