2019 Fiscal Year Research-status Report
GC/MS法を用いたオキシステロールの多項目同時測定系の確立とその臨床的意義
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19K07874
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
三井田 孝 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80260545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 哲 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (10345506)
中川 沙織 新潟薬科大学, 薬学部, 准教授 (30410228)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オキシステロール / 質量分析装置 / 動脈硬化 / バイオマーカー / 前処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
コレステロールの合成には約30種類の酵素反応が必要で、ステロール骨格を持つコレステロール前駆体が複数存在する。一方、コレステロールは生体内で完全に分解することは難しく、酵素的・非酵素的に酸化されたオキシステロールが血中に多数存在する。また、食事由来の植物性ステロールは、コレステロールと非常に構造が似ており、血中にも微量ながら存在する。コレステロールの前駆体や植物ステロールは血漿中に数μg/mLから数十μg/mLのレベルで、オキシステロールは数ng/mLから数百ng/mLのレベルで存在し、コレステロールの(130~220 mg/dL)の数千から約百万分の一という微量である。しかし、これらと動脈硬化の関連が指摘されている。これらの濃度を測定するためには、コレステロールを前処理で除くだけでなく、項目ごとに測定系を開発する必要があった(血中濃度が大きく異なるため)。今年度は、1度の前処理操作で、血漿中コレステロール前駆体・植物ステロール・オキシステロールを、それぞれ5種類、3種類、13種類同時にGC-MSおよびLC-MS/MSを用いて一斉定量する方法を開発した。前処理法としてジルコニアビーズおよびメタノールによってリポタンパクを破砕し、アルカリによるけん化、n-ヘキサンによる溶媒抽出を行った。オキシステロールの測定では、固相抽出によるコレステロールの除去を行った。GC-MSで定量する物質については、トリメチルシリル誘導体化を行って測定した。前処理条件の検討において、既存の方法(合成・吸収とオキシステロールを別々に測定する)に比べ、けん化時間が6時間以上と長時間必要であることが分かった。この前処理法の添加回収試験による回収率は85~115%と良好で、市販の黒人血漿を用いて定量したところ、既存の方法とほぼ同様の測定値が得られた。臨床検体の測定に十分な精確度であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、多項目のオキシステロールの同時測定系を開発することを目標としていた。現在、満足できる正確度と精密度で測定が可能となっている。同時に多項目を測定できることにより、患者サンプルを集める際の採血量を減らすことも可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、確立した測定系を用いて、横断研究によって動脈硬化と密接な関係のあるコレステロール前駆体、植物ステレオ―ル、オキシステロールがあるかどうか、糖尿病患者においてスクリーニングを開始する。また、急性冠症候群の患者においても、同様の検討を計画しており、研究計画の立案と倫理委員会への申請書の準備を進めている。
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Causes of Carryover |
今年度は、多項目を同時に測定できる系を確立するための基礎検討を行っただけで、患者サンプルを集めての臨床研究まではできなかった。その理由は、検体を採取してくれる協力施設において、研究計画を倫理委員会が承認する必要があるためである。現在、倫理委員会の書類を作成して関係する科の医師らと打ち合わせ中である。
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Research Products
(11 results)