2021 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺疾患の病因解明に向けた濾胞内Tgによる濾胞機能調節シグナル伝達経路の同定
Project/Area Number |
19K07875
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
鈴木 幸一 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (20206478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 大介 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (10553266)
川島 晃 帝京大学, 医療技術学部, 研究員 (60624913)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 甲状腺 / サイログロブリン / 細胞内シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、甲状腺濾胞内に貯蔵される甲状腺ホルモン前駆体であるサイログロブリン(Tg)が甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって誘導される甲状腺機能遺伝子を転写レベルで制御する強力な生理活性物質であることを明らかにしてきた。しかしTgがどのように甲状腺細胞に作用しているか未だ不明である。前年度までに、TgはPKA経路、Raf/MEK/ERK経路、およびPI3K/Akt経路を活性化することを明らかにした。しかし、それらの阻害剤やRNAiではTgの効果は阻害されないという結果を得た。そこで本年度はそれらシグナル伝達経路を組み合わせて阻害することによるTg作用への影響についてより詳細な検討を行った。まず、Tgが誘導する各経路の阻害剤(PKA経路:H-89、Raf/MEK/ERK経路:ERK1/2のsiRNA、PI3K/Akt経路:LY294002)の組み合わせを用いてTgの作用が阻害されるか甲状腺機能遺伝子の発現量で評価した。その結果、それぞれ単独の経路を阻害してもTgの効果は阻害されなかったのに対し、PKA経路とPI3K/Akt経路を同時に阻害することでTgの効果が阻害されることが明らかとなった。したがってTgはPKAとPI3K/Akt経路の両方を介して甲状腺機能遺伝子の発現を抑制している可能性が示唆された。今後はこれら2つのシグナル経路を介したクロストークシグナルの詳細を明らかにし、Tgが制御する甲状腺機能遺伝子の分子メカニズムを明らかにすることで、これら分子が甲状腺疾患の病因となり得るか解析を継続していく予定である。
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