2020 Fiscal Year Research-status Report
原発性アルドステロン症におけるバイオマーカーとしてのマイクロRNAの意義
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19K07885
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉本 貴宣 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (80297457)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルドステロン / 副腎腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は次世代シーケンサーを用いて、重症型原発性アルドステロン症(PA)の原因疾患であるアルドステロン産生腺腫(APA)に特徴的なmicroRNA(miRNA)を 探索し、その病態生理における役割を検討することを目的としている。これまでに、次世代シーケンサーによる網羅的解析によって、KCNJ5体細胞変異を有するAPA(KCNJ5 mut+)に特異的な分布をするmiRNAを抽出した。そのうち、KCNJ5 mutにおいて発現が低下しているmiRNAの一つとしてmiR-337を同定した。さらに、ホルモン分泌能をもたない非機能性腺腫(NF)、コルチゾール産生腺腫(CPA)、KCNJ5体細胞変異をもたないAPA(KCNJ5 mut-)とKCNJ5 mut+の組織から抽出したRNAを対象に、miR-337の発現量をqPCRで比較すると、KCNJ5 mut+において有意な低下(P <0.05)を認めた。さらにバイオインフォマティクス解析でmiR-337が制御する標的遺伝子候補を選定し、miR-337とmRNA発現量との相関を評価したところ、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HS-PG)の分解に関与する酵素をコードする遺伝子HPSEがmiR-337の発現量と有意に逆相関することが示された(r = -0.46, P<0.03)。また、HPSEの遺伝子発現は他の腺腫組織と比較しKCNJ5 mut+で有意に増加していることも示された(P <0.05)。HS-PGは細胞表面受容体であり、増殖因子や形態形成因子などの修飾因子として種々のシグナル伝達に関与することが知られている。KCNJ5 mut+において、miR-337によってHSPEの発現が上昇した結果HS-PGが分解され、シグナル伝達を介して細胞増殖能やステロイド合成能に影響を与える可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原発性アルドステロン症、特にKCNJ5体細胞変異をもつアルドステロン産生腺腫の病態と関連性のあるmiRNAと、その候補標的遺伝子群を同定できており、進捗は順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
miR-337はHPSEを介してヘパラン硫酸プロテオグリカンを修飾していることが考えられる。ヒト副腎皮質癌細胞であるH295Rを用いたin vitro実験による解析を予定している。
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Research Products
(3 results)