2019 Fiscal Year Research-status Report
化学療法起因性の口内炎と口腔内細菌叢の関係を明らかにし予防方法を確立する研究
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19K07886
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
梶浦 新也 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (70456383)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 化学療法 / 口内炎 / 口腔内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
口内炎は化学療法中に頻繁に認め、しばしば治療の中断に至ることのある有害事象である。近年頻用されるようになってきた分子標的薬では、口内炎の発生頻度がさらに高くなっている。その一方で化学療法起因性の口内炎を抑制する支持療法薬の開発は遅れており、口腔内清掃やうがい薬、痛み止めの内服、ステロイド外用薬、保護剤投与が行われている。 本研究では①化学療法起因性の口内炎と口腔内細菌叢の関係を同定することを目的の一つとしており、そのために、消化器がん患者において、フッカピリミジン系抗がん剤を投与する症例の治療前後の唾液の採取を行なった。今後、これらの唾液の細菌叢解析から口内炎の発生と口腔内細菌叢の関係を明らかにする予定である。 ②プロバイオテクスによる化学療法起因性の口内炎の予防効果が見込めるかを明らかにすることを目的とした前向き臨床試験を予定している。消化器がんに対して抗がん剤を投与する症例に対して、口腔内への乳酸菌投与を行うことで、口内炎の発生を抑制することができるかどうかを明らかにするための前向き臨床研究である。口腔内乳酸菌は原材料としてデキストリン、マルチトール、エリスリトール、乳酸菌末、ソルビトール、香料、ショ糖エステル、微粒二酸化ケイ素からなるタブレット剤で、日本細菌学会のバイオセイフティーレベル1に分類される安全性があり、動物実験、及び臨床試験において齲蝕の発生や進行が無いことが確認され、非常に安全性が高いことから、医薬品としてではなく、食品として市販されている。しかし、今回は口内炎の抑制効果の有無を検証する試験であり、特定臨床研究として行う予定とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前向き臨床研究について、当初は口腔内乳酸菌は食品として臨床研究の敷居が低いものと推定していたが、実際に遂行するにあたり特定臨床研究として進める必要があると判断された。そのための体制整備に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
①化学療法起因性の口内炎と口腔内細菌叢の関係を同定する目的の研究について、採取した検体を用いて解析を進める。 ②プロバイオテクスによる化学療法起因性の口内炎の予防効果が見込めるかを明らかにすることについては、富山大学臨床研究支援センターの支援の元、特定臨床研究としての臨床研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
特定臨床研究として行う必要性が生じたため
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