化学療法起因性の口内炎と口腔内細菌叢の関係を明らかにし予防方法を確立する研究

2022 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K07886
• Research Institution: University of Toyama
• Principal Investigator: 梶浦 新也 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (70456383)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 化学療法 / 口内炎 / 口腔内細菌叢 / 腸内細菌叢 / プロバイオテクス

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、①化学療法起因性の口内炎と口腔内細菌叢の関係、および、②プロバイオテクスによる化学療法起因性の口内炎の予防効果が見込めるかを明らかにすることにある。まず富山大学附属病院で5-FUを新規に開始される消化器がん患者に対して、研究の主旨を説明し、書面で同意が得られた症例から、治療前の唾液を採取し、－80℃で保存した。口腔内保存した唾液を理化学研究所横浜事業所マイクロバイオーム研究チームに送付し、唾液から細菌DNAを抽出し、サンプル調整後に16SrRNA解析を行なった。口内炎発症者と非発症者の16SrRNA解析のデータを比較したところ非発症者に多く存在する細菌を同定することができた（ここまでの研究は主に同教室員によって遂行された）。左記の研究結果からは①化学療法起因性の口内炎と口腔内細菌叢の関係が示唆される結果であった。
次に②プロバイオテクスによる化学療法起因性の口内炎の予防効果が見込めるかを明らかにすることである。これについて前向き介入研究を行うのは予算的にもギリギリの状況ではあったが、コロナ禍という想定外の事象も発生し病院での診療も逼迫しており、前向き介入研究の実施は困難と判断し、後ろ向きの研究へと試験を変更して遂行することとした。具体的には化学療法施行症例における口内炎の発生と、乳酸菌製剤投与歴の関係を明らかとすることで、プロバイオテクスによる化学療法起因性の口内炎の予防効果が見込めるかを明らかにすることとした。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

①化学療法起因性の口内炎と口腔内細菌叢の関係、については、5-FUが開始される消化器がん患者において、口内炎発症者と非発症者の16SrRNA解析のデータを比較し、口内炎非発症者に多く存在する細菌を同定することができたことで、化学療法起因性の口内炎と口腔内細菌叢の関係が示唆される結果が得られた。
②プロバイオテクスによる化学療法起因性の口内炎の予防効果が見込めるかを明らかにすることについては前向き介入研究を行うことは難しく、後ろ向きの研究へと試験を変更して遂行することにした。

Strategy for Future Research Activity

富山大学附属病院における消化器を主体とした化学療法施行症例において、口内炎の発生と、乳酸菌製剤投与歴の関係を明らかとする。これらの関係性を解析することで、プロバイオテクスによる化学療法起因性の口内炎の予防効果が見込めるかを明らかにすることとした。

Causes of Carryover

プロバイオテクスによる化学療法起因性の口内炎の予防効果が見込めるかを明らかにすることについては前向き介入研究を行うことは難しく、後ろ向きの研究へと試験を変更して遂行することにしたため。