2021 Fiscal Year Annual Research Report
高齢心不全患者に和温療法を用いた認知機能・筋力改善効果と分子的機序の解明
Project/Area Number |
19K07895
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
豊田 茂 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80332998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 忠和 獨協医科大学, 医学部, 特任教授 (10163891)
小尾 正太郎 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10734452)
井上 晃男 獨協医科大学, 医学部, 特任教授 (20168454)
安田 智洋 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (20549604)
中島 敏明 獨協医科大学, 医学部, 特任教授 (50227790)
有川 拓男 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (90285817)
狩野 豊 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90293133)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 和温療法 / 認知機能 / 脳血流 / 筋力 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は高齢心不全患者に和温療法を用いた認知機能・筋力改善効果についてデータをまとめた。 COVID-19による影響のため、最終的な登録症例は36例であった。そのうち脳梗塞既往による除外1件、1例は本人拒否にて中止、1例は出血性疾患がその後判明したため中止とした。計33例で解析を行った。 まず今回我々が施行した高齢心不全患者に対する和温療法1回/日、計10回施行するプロトコルにおいて、血圧低下やふらつき等の自覚症状や転倒等の有害事象は認めなかった。 和温療法前後におけるSPECTによる脳血流評価では、平均脳血流量は有意な変化は認められなかった(各領域における検討は現在解析継続している)。血液検査ではBDNF(脳神経成長由来因子)は有意な変化は認めなかったが、血清amyloid precursor proteinと酸化ストレスの指標であるdROMにおいて和温療法前後で有意な改善が認められた。認知機能の指標としてMMSEおよびMoCA-Jを検討した。MMSEは有意ではなかったが、p=0.056と改善傾向を認めた(これは今回の対象患者で比較的認知機能が保持された症例が多いことおよび症例数によると考える)。MoCA-Jは有意に点数が改善した。筋力・身体機能については、握力、大腿筋厚、骨格筋指数(骨格筋量)、バーセルインデックスには有意な差は認めなかったが、左右膝伸展筋力(体重比含む)、Short Physical Performance Batteryは和温療法後で有意に増加・改善した。SF-36では、活力、日常役割機能(精神)、精神的側面のサマリースコアが有意に改善した。 結論として、高齢心不全患者における和温療法は安全し施行でき、認知機能の改善および筋力維持に有用であることが明らかとなった。
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