2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規血管作動性物質の動脈硬化促進機序の解明と虚血性心疾患のバイオマーカーへの応用
Project/Area Number |
19K07900
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 健吾 北海道大学, 大学病院, 臨床検査技師 (70549930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木庭 新治 昭和大学, 医学部, 教授 (20276546)
渡部 琢也 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (30297014) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血管作動性物質 / 動脈硬化 / 虚血性心疾患 / バイオマーカー / 血管内皮細胞 / マクロファージ / 血管平滑筋細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化に起因する虚血性心疾患は、世界第1位の死因である。虚血性心疾患を予知するための信頼に足るバイオマーカーの発見には未だ至っていないのが現状である。そのため、新たなバイオマーカーの創出を目的とした。 β-EndorphinおよびLipocalin-2は、動脈硬化の3大主要現象である、1) 血管内皮細胞の炎症 (ヒト臍帯静脈内皮細胞HUVECのTNF-α誘導性のICAM-1、VCAM-1、E-selectinのmRNAおよびタンパク質発現を有意に促進、THP1細胞由来マクロファージの炎症性フェノタイプを炎症促進性のM1にシフト) 、2) マクロファージの泡沫化 (THP1細胞由来マクロファージの泡沫化を有意に促進、3) 血管平滑筋細胞の遊走 (ヒト大動脈平滑筋細胞HASMCのPDGF-BB誘導性の遊走を有意に促進) を促進した。また、動脈硬化自然発症モデル動物のApoe欠損マウスにβ-EndorphinもしくはLipocalin-2を投与すると、大動脈硬化病変は有意に促進し、プラークの不安定化も有意に促進していた。さらに、in vivoおよびin vitroで動脈硬化促進作用を確認できたため、冠動脈の動脈硬化に起因する虚血性心疾患のバイオマーカーとなるか、β-EndorphinおよびLipocalin-2の血中濃度をELISAで検討したところ、急性冠症候群 (急性心筋梗塞および不安定狭心症)患者では、健常者に比べ、両物質の血中濃度は有意に増加していた。よってβ-EndorphinおよびLipocalin-2は虚血性心疾患の新しいバイオマーカーになる可能性が示唆された。
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