2020 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺ホルモン活性化を介しサルコペニアを改善する新規骨格筋G蛋白共役受容体の同定
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19K07907
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
荒木 修 群馬大学, 医学部, 非常勤講師 (80589482)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サルコペニア / G蛋白共役型受容体 / 甲状腺ホルモン活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国はすでに超高齢社会に直面しており、高齢者の健康寿命を維持する上で筋骨格系などの運動器の維持が喫緊の課題となっている。サルコペニアは筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられ、身体機能障害、生活の質(QOL)の低下や死のリスクを伴う。正常な筋量・筋力を維持することは高齢者の身体機能を維持し健康寿命を延伸するために極めて重要である。肥満・内臓脂肪の蓄積はインスリン抵抗性を惹起し、脂質異常、耐糖能異常、高血圧をもたらし、動脈硬化の促進と心血管疾患発症のリスクを高め、患者の生命予後やQOLの低下をもたらす。 甲状腺ホルモンはT4からT3に活性化され生理作用を発揮し、骨格筋や骨の分化を促進するとともに抗肥満効果を示し、高齢者で問題となるサルコペニア肥満の病態を改善する効果が期待される。本研究では、骨格筋において甲状腺ホルモン活性化を介してサルコペニアを改善しうる新規G蛋白共役受容体を同定するとともにその機能解析を行い、将来的にサルコペニア肥満を予防ならびに治療するための分子基盤を確立することを目的としている。 研究計画に基づき、まずマウス初代培養細胞を用いて、骨格筋芽細胞(myoblast)ならびに成熟骨格筋細胞(myotube)において甲状腺ホルモンを活性化する酵素である2型甲状腺ホルモン脱ヨード酵素(D2)の発現を増強させる新規G蛋白共役型受容体の同定を行った。同定した受容体の発現を培養がより容易で再現性が得られやすいマウス骨格筋細胞株(C2C12細胞)を用いて検討し、候補となる受容体の機能解析を行った。得られた研究結果の一部を学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マウス初代培養細胞を用いて、骨格筋芽細胞(myoblast)ならびに成熟骨格筋細胞(myotube)において甲状腺ホルモンを活性化する酵素である2型甲状腺ホルモン脱ヨード酵素(D2)の発現を増強させる新規G蛋白共役型受容体の同定を行い得た。同定した受容体の発現を、培養がより容易で再現性が得られやすいマウス骨格筋細胞株(C2C12細胞)を用いて検討し、候補となる受容体の機能解析を行った。実験系の一部を細胞株にて行い、再現性の高い結果が得られた。ヒト初代培養細胞を用いてヒト骨格筋における検討や、再現性の高い結果を得るためヒト初代培養骨格筋芽細胞のみならず、ヒト間葉系幹細胞からの骨格筋分化誘導を行う実験系を検討していたが、2020年4月、主たる勤務先病院にてCOVID-19院内クラスターが発生し年度を通して対応に追われ、研究が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を1年繰越し、研究実施計画に基づいて同定した新規G蛋白共役型受容体のマウス個体における組織分布の確認とヒト骨格筋細胞における発現の検討、新規G蛋白共役型受容体に対するリガンドスクリーニングのための受容体安定発現細胞株の樹立とリガンドの同定について、順次、研究を実施する。
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Causes of Carryover |
初年度、マウス初代培養細胞における実験の一部を、より培養が容易で再現性のある細胞株に変更し検討したため、費用面においてコストが抑えられた。また、次年度にヒト初代培養細胞系における実験を計画し、培養・実験にかかる費用が高額となることが予想され、繰越分を次年度使用予定としていた。ところが、2020年はCOVID-19禍により年度を通じて研究が実施できず、翌年以降に研究計画そのものと予算の使用を繰り越した。
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