2020 Fiscal Year Research-status Report
漢方薬併用経口免疫療法による食物抗原耐性獲得の検討と治療評価血液マーカーの探索
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19K07908
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山本 武 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (70316181)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 葛根湯 / 経口免疫療法 / 食物アレルギー / 腸管粘膜免疫系 / 制御性T細胞 / レチノイン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者らは、食物アレルギー病態モデルを使用して、経口免疫療法に葛根湯を併用する治療法により、経口免疫療法による食物アレルギーの治療効率(脱感作誘導率)が上がることを明らかにしている。本年度は、この葛根湯と経口免疫療法の併用療法や経口免疫療法により誘導された治療効果を、原因抗原の経口負荷試験ではなく血液成分の検査で確認可能かどうか明らかにするため、各治療を行った病態モデルから血液を採取し、T細胞の抗原特異的応答などの検討を行った。 また、葛根湯は経口免疫療法と併用することにより経口免疫療法の治療効率を上げたが、この効果をより上げるために、葛根湯による機序および有効成分の検討を行った。葛根湯の投与が腸管のレチノイン酸量を増加させ、制御性T細胞を増加させたことが示唆されたため、ヒト腸管上皮細胞(Caco2細胞)を使用してレチノイン酸合成酵素発現を増加させる有効生薬の探索を行い、生姜がレチノイン酸合成酵素発現を増加させることを明らかにした。また、葛根湯にはイソフラボン類が多く含まれプエラリンの有効性を明らかにしていることから、さらに有効なイソフラボン類の探索を行い、複数のイソフラボンが腸管のレチノイン酸分解酵素の発現を抑制することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未だ有効で安全な治療法が確立していない食物アレルギーの治療法として、葛根湯と経口免疫療法の併用療法について検討し、経口免疫療法への葛根湯の併用が脱感作誘導率や寛解維持率を上げることを明らかにした。また、その機序や有効成分の探索、さらに有効性・安全性の向上の検討を行い、成果を挙げている。また、経口負荷試験を行わない食物アレルギーの治療効果の評価法として血液バイオマーカーの探索を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
食物アレルギー病態モデルでの検討により、経口免疫療法に葛根湯を併用する治療法が、経口免疫療法による食物アレルギーの治療効率(脱感作誘導率)を上げることを明らかにしている。しかし、その治療効率は十分には高くないため、詳細な機序の検討および治療効果をより高める検討を行う。また、少量の原因抗原と葛根湯の長期投与が寛解維持に繋がることを明らかにしたことから、この機序の検討および寛解維持率の向上の検討を行う。 また、食物アレルギーの治療効果を評価するための原因抗原を用いた経口負荷試験は安全性等の問題がある。食物アレルギー患者にから苦痛を与えずに容易に継続して採取することが可能な標本は血液サンプルであるため、経口負荷試験を行わずに血液サンプルから治療効果を評価することが可能になれば、治療や治療評価による余分な食物抗原の投与の予防に繋がり安全性の向上にも繋がる。そこで、この葛根湯と経口免疫療法の併用療法や経口免疫療法による治療効果を、原因抗原の経口負荷試験ではなく血液成分の検査で確認可能かどうか明らかにするため、各治療を行った病態モデルから血液サンプルを採取し、血液中のT細胞の抗原特異的応答の検討やメタボローム解析等を行い、治療効果の解析を可能とするための血液バイオマーカーの探索を行う。
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Causes of Carryover |
前年度までに購入していた試薬・溶媒等で研究を進めることができたため若干の次年度使用額が生じた。この余剰分は次年度に必要な試薬等の購入に充てることとした。
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Research Products
(8 results)