2020 Fiscal Year Research-status Report
認知フレイルの成因解明を目指した基礎的・臨床的検討
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19K07911
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹下 ひかり 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (10791577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 浩一 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00528424)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知フレイル / アルツハイマー病 |
Outline of Annual Research Achievements |
身体的フレイルを有する高齢者が軽度認知機能障害(MCI)を発症しやすいことから、両者を合併する病態が認知フレイル(Cognitive frailty, CF)として提唱されている。CFへの介入により、高齢者のQOL維持・回復が期待できるが、CFの病態の機序については未だ解明に至っていない。本検討では、CFの病態解明を目的に、認知症の最大の原因疾患がアルツハイマー病(AD)であること、そしてADが脳脊髄液バイオマーカーから確定診断可能であることから、ADによるMCI(MCI due to AD)に注目をして検討を行っている。本検討は以下の二つの研究計画により構成される。①MCI患者の骨格筋機能について病型や性差の関連の検討 ②ADモデルマウスを用いたAD病理が骨格筋機能に及ぼす影響の機序解明。 2020年度も前年度に引き続き各項目について以下の研究内容を遂行した。 ①当診療科の物忘れ検査入院では、詳細な認知機能の評価に加え、脳脊髄液を採取し神経病理学的にADの診断を行っている。検査入院患者全員に行っている筋力検査の結果から、MCIと診断された患者の筋力データを抽出し、骨格筋機能と原因疾患(ADもしくは他の疾患)や性差の関連について検討を行った。 ②ADモデルマウスであるAPP23マウスに対する筋力や骨格筋の生化学的検査により、AD病理が骨格筋に及ぼす影響を評価している。また、2020年度はさらにAPP23マウスと野生型マウスとの骨格筋における表現型の相違の原因について遺伝子レベルの解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に記載したように、本研究は以下の2つの計画から構成される。各項目の進捗状況は以下の通りである。 ①MCI患者を対象とした骨格筋機能評価と病型や性差の関連についての検討:研究対象となる患者数が増加した。 ②ADモデルマウスを用いたAD病理が骨格筋機能に及ぼす影響の機序解明: APP23マウスの骨格筋における表現型を明らかにした。現在は表現型に影響を及ぼす機序について遺伝子レベルでの解析に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
各項目について、今後の研究推進方策は以下の通りである。 ①MCI患者を対象とした骨格筋機能評価:MCI患者の病型・性別ごとの筋力データの評価を継続する。今後、得られたデータを評価し認知機能と骨格筋機能の相関や、両者の間に介在する因子の特定を目指す。
②ADモデルマウスを用いたAD病理が骨格筋機能に及ぼす影響の機序解明:引き続き、APP23マウスの骨格筋の表現型についてさらに詳しい評価を行うとともに、APP23マウスの骨格筋を用いて骨格筋機能に影響を及ぼす可能性のある遺伝子について発現解析を施行し、AD病理と骨格筋病理をつなぐ機序の解明を目指す。
①②で得られた結果について、積極的に論文化を行う。
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Causes of Carryover |
本検討はおおむね順調に進行しているが、本年度においてはマウスの繁殖が不調な時期があった。現在は繁殖状況が回復しているものの、解析に必要なn数が得られなかったため、次年度使用額が生じた。本繰越金は、現在繁殖させているマウスの組織学的評価や遺伝子発現解析の費用に充てる。
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