2021 Fiscal Year Annual Research Report
免疫細胞を標的とした細胞内代謝制御による1型糖尿病に対する新規予防的治療法の開発
Project/Area Number |
19K07912
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
安田 尚史 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (50403233)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 1型糖尿病 / 免疫細胞 / 細胞内代謝 / 免疫代謝 / AMPK / 解糖系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1型糖尿病(T1D)発症に関わる免疫細胞の代謝状態に焦点をあて、自然免疫と獲得免疫の橋渡しをする樹状細胞(DC)および発症に関わるT細胞の代謝状態とT1D発症との関連を検討し、免疫細胞の細胞内代謝を制御することで免疫細胞機能を制御し、ヒトT1D に対する新規予防的治療法「免疫代謝療法」の開発を目指すものである。将来のT1D発症の制御を意図した研究であり、大変有意義な研究であると考えている。 1)T1D関連マウスの免疫細胞の代謝状態の解析:T1D発症抑制状態では、免疫細胞はmTOR活性化状態(解糖系亢進、エネルギー消費亢進)が抑制され、むしろAMPK活性化状態(酸化的リン酸化亢進、エネルギー産生亢進)であることが明らかになった。 2)マウスへのAMPK活性化薬(解糖系抑制薬)の投与実験及びその解析:上記の結果より、T1Dの薬剤誘発モデルであるサイクロフォスファマイド(CY)投与雄性NODマウスおよびT1Dの自然発症モデルである雌性NODマウスへのAMPK活性化薬(解糖系抑制薬)の投与実験を行なった。その結果、T1D発症を抑制し、組織学的にも膵島炎を抑制、脾細胞のフローサイトメトリー解析では、活性化CD4陽性T細胞(Teff)の減少、および制御性T細胞(Treg)など制御性細胞の増加を認めることが明らかになった。以上より、T細胞バランスがTeffからTregへ偏位することが示唆された。 3)AMPK活性化薬(解糖系抑制薬)存在下での骨髄由来樹状細胞(DC)樹立の検討:現在、AMPK活性化薬(解糖系抑制薬)存在下と非存在下での骨髄由来DC樹立を行い、樹立DC投与実験によりT1D発症抑制の可能性が示唆された。 これらより、T1Dに対する「免疫代謝療法」すなわち将来のT1D発症の制御の可能性が広がったと考えている。
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