2020 Fiscal Year Research-status Report
慢性炎症をきたす持続感染症とサルコペニアとの関連の解明
Project/Area Number |
19K07915
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山梨 啓友 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (60709864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
延末 謙一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (20823272)
前田 隆浩 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40284674)
高橋 健介 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (40567294)
中道 聖子 (中山聖子) 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (60457520)
泉田 真生 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (90567299)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコペニアは高齢者の骨格筋量およびその機能低下を表す疾患概念であり、高齢化が急速に進行し、要介護者が増加する日本において喫緊な課題である。その発生機序については、これまで複数の因子が関連していることが示されているが、感染症がどのように関わっているかについては明らかではない。本研究は、慢性炎症をきたす持続感染症とサルコペニアとの関連の解明を最終目標とする前向きコホート研究である。 研究計画に沿って、長崎県五島市で進行中のNagasaki Islands Studyに研究同意した地域在住成人を対象に、持続感染症としてHuman T-cell lymphotropic virus type-1(HTLV-1)ウイルスの血清抗体価を測定した。2017年から2019年にかけての2811人の40歳以上の成人を対象に解析を行なった。HTLV-1感染の確定検査を行い、484人(17.2%)でHTLV-1感染が認められた。サルコペニアを四肢筋肉量のマーカーとして国際的なコンセンサスとなった骨格筋量指標Skeletal muscle indexと握力を用いて定義した. ロジスティックモデルを用いたHTLV-1感染とサルコペニアとの関連解析を行い、年齢、性別、Body mass indexなどの調整を行なったのちも統計学的に有意な相関を認めた(adjusted OR 1.46, 95% CI 1.03, 2.07, P = 0.034)。無症候性HTLV-1感染症がサルコペニアと関連していることが明らかとなり、無症候性HTLV-1のスクリーニングや早期発見はこれまで報告されてきた動脈硬化や歯周病のみならず、サルコペニアの発症や進展に関わることが示唆され、HTLV-1に関連したサルコペニアを予防していくという新たな可能性を提起した。この知見は、Aging (Albany NY)誌に報告した。(2020 Jul 24;12(15):15504-15513. DOI: 10.18632/aging.103736)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
持続感染症の指標のひとつであるHuman T-cell lymphotropic virus type-1ウイルスの対象者からの確認検査を終え、2017-2019年の対象者においてサルコペニアとの関連解析を実施、論文発表を行ない、計画は予定通りに進行したため。
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Strategy for Future Research Activity |
持続感染症とサルコペニアの更なる検討を行い、解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
実施予定であった出張がコロナ感染症に伴う出張予定の変更等により実施延期や中止となったため、使用額が変更された.延期になった出張の一部は次年度に実施する予定である.
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Research Products
(3 results)