2020 Fiscal Year Research-status Report
食行動異常のメカニズム解明・新規治療法開発-骨髄由来細胞からのアプローチ-
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19K07917
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
浅川 明弘 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10452947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安宅 弘司 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任講師 (30563358)
加藤 郁夫 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (70509843)
網谷 東方 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (70535674)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肥満症 / 神経性やせ症 / 骨髄由来細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満症、神経性やせ症は、心身の両面において罹患者の生活の質を著しく低下させ、その罹患者の数は世界において先進国を中心に増加し続け、重要な社会問題となっているが、その発症、進展のメカニズムの多くが不詳であるため、有効な治療法・予防法の開発は遅れている。本研究は、肥満症、神経性やせ症の病態を、骨髄由来細胞、神経細胞、腸管ホルモンに焦点をあてて解明し、治療・予防法の開発に寄与することを目的としている。令和2年度も前年度に続いて、マウスにおいて、摂食時間を制限し、回転輪による自発運動可能とするactivity-based anorexiaモデルを実験に使用し、摂食時間を制限する群、 回転輪による自発運動可能とする群、摂食時間を制限せず、回転輪による自発運動が可能としない群において、視床下部の摂食・ストレス関連ペプチドの解析を実施した。3群において視床下部のoxytocin、corticotropin-releasing factor、urocortin1、brain-derived neurotrophic factorの遺伝子発現に差は認められなかった。また、高脂肪食による骨髄細胞への影響を検討するため、高脂肪食給餌、普通食給餌を用いて、各給餌によってマウスを飼育した後に、骨髄を採取し、別の高脂肪食給餌マウス、普通食給餌マウスに投与し、摂食量、体重を測定した。高脂肪食給餌マウスの骨髄細胞を移植した高脂肪食給餌マウスは、普通食給餌マウスの骨髄細胞を移植した高脂肪食給餌マウスに比べ、摂食量は低下し、体重が減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Activity-based anorexiaモデルマウスを用い、神経性やせ症の食欲異常の病態解明に寄与すると考えられる知見が得られた。また、高脂肪食給餌による肥満マウスを用いて、骨髄細胞が肥満症の摂食・体重異常に関与している可能性が示された。本知見は、本研究課題において次年度に予定している研究の実施に有用であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度においても、引き続きactivity-based anorexiaモデルを用いて、視床下部の室傍核に集積した骨髄由来細胞の解析を実施する。また、高脂肪食給餌マウス、緑色蛍光タンパク質強制発現マウスを用いて、骨髄由来細胞、神経細胞、腸管ホルモンに焦点をあてて、骨髄細胞の肥満症の摂食・体重異常への関与のメカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大の影響により、研究実務を行う研究員の雇用ができなかったため。次年度において、研究実務を行う研究員を雇用して、繰越した研究費を使用する予定である。
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