2019 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of risk factor under oxidative stress in aging by EPR imaging
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19K07920
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
江本 美穂 北海道医療大学, 医療技術学部, 講師 (10578735)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | aging / 酸化ストレス / EPRイメージング / ナイトロオキサイド化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会となっている日本だけでなく、世界中で急速に高齢化の波が押し寄せている。老化は不可逆的な生理現象であり、様々な機能低下を来す事が知られている。申請者はこれまで、マウス脳内において老化によりレドックス状態の不均一性が増大することを見出しており、この事が高齢化による様々な疾患に関与しているのではないかと考えるに至った。 老化による健康に対する影響で言えば、1950年代にHarmanによりThe free radical theory of agingが提唱されたが、その後、様々な研究によりこの仮説が拡大されたり、反証論文が発表されるなど現在でもフリーラジカルや酸化ストレスと老化に関する統一見解は得られていない状況である。また、老化の問題として、最も深刻なものの一つがアルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)に代表される認知症問題である。平成29年高齢社会白書(内閣府)によると、2025年には65歳以上の高齢者の約5分の1は認知症有病者になる推計があるとされている。 そこで本研究では、酸化ストレスという観点から老齢マウスと若齢マウスとの間にどのような共通点や差異があるのか?という問いを立て、レドックス状態の相対的指標を非侵襲的に画像化できるEPRイメージング法と、in vitroによる複数の脳内酸化ストレスマーカーの情報を統合し、老化により脳内ではどのような変化が起きたのかを明らかにする画像指標(Risk factor map)を作成する事を目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳内酸化ストレスの観点から老化がどのような影響を与えるのかを明らかにするために、老齢マウスと若齢マウスとの間にどのような共通点や差異があるのか?という問いを立て、この問いにアプローチすべく研究を行っている。 この目的を達成するために、本研究では老化により脳内レドックス状態がどのように変化するかを明らかにしていく手法として、EPRイメージング法を用いた。脳内レドックス状態を反映するナイトロオキサイド化合物としていくつかの種類の候補、3-methoxycarbonyl 2,2,5,5-tetramethylpirrolidine N-oxyl(MCP),4-hydroxy-2,2,6,6-tetramethylpiperidine-N-oxyl(Tempol), 2,2,6,6-tetramethylpiperidone-N-oxyl(Tempone)などを若年および高齢マウスに投与し、本研究を達成するために最適な条件の検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
脳内レドックス感受性のイメージングプローブとしてのナイトロオキサイドは、反応点周囲の置換基の修飾により酸化還元電位を変化させることができ、構造によりそれぞれ固有の酸化還元電位を持っているため、酸化ストレス感受性が異なる特性がある。過酸化脂質などのROSへの反応性が異なる事が in vitro の検証で明らかなものなど、複数のナイトロオキサイドを用いて、月齢の違いにより、マウス脳内の酸化ストレスによるレドックス状態の変化がどの程度生じるかをこれからも継続して検討する。 また、脳内の酸化ストレスに関与する複数の物質をin vitroで測定し、EPRイメージングで得たレドックス状態との相関を検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた国際学会への参加が大学業務の都合上取りやめとしたことや、プログラムの改良により、データ解析用の補助員のサポートがなくとも解析が出来る様になったため、次年度使用額が生じている。今後は酸化ストレスイメージングで長年研究を行ってきたエキスパートにアドバイスを求める事で、本研究をさらにブラッシュアップしていくために追加の謝金を使用することや必要な実験試薬等を購入し研究を進めていく。
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