2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K07921
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
山田 俊幸 自治医科大学, 医学部, 教授 (50211636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 毅 新潟大学, 保健管理・環境安全本部, 准教授 (00372475)
川口 公平 自治医科大学, 医学部, 非常勤研究員 (20814651)
田中 将史 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (40411904)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症 / 血清アミロイドA / 酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症のベクトル(悪化か鎮静化か)を把握するため、血漿の急性期蛋白であるSAA(血清アミロイドA)の断片化または分子修飾を指標とすることが本研究の目的である。当該年度ではSAA分子の断片化と酸化の様式について検討した。 予備検討でも一部検討したように、末梢血より採取した白血球(顆粒球、単球)をリコンビナントSAAに作用させるとアミノ酸配列59-60位で切断されたフラグメントが普遍的に得られた。N末端側フラグメントとC末端側フラグメントを分別測定するイムノアッセイを構築するべく条件の検討を行っている。なお、SAAはそのN末端部分がアミロイド線維を形成するが、沈着組織から調整したSAA分解産物は、前記のフラグメントを含まないことから、このフラグメントを生成する蛋白分解がアミロイド化を防止していることが推測された。また、アミロイド化したものはN末端のアルギニンを欠如するものが(末梢血SAAでも検出される)優位で、この部分の有無と線維化の関わりに興味が持たれた。この結果は関連学会で発表した。 炎症血清から免疫沈降で調整したSAAを質量分析すると、酸素が1分子または2分子、付加された分子種が検出された。SAAはその分子内に2つのメチオニンを含むことによるとされた。この酸化の程度が炎症の強さ、ベクトルに関係していると想定されるが、保存血清でもその酸化が進むなど、分析上の条件設定を慎重に行う必要があり、現在そのツメを行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終的な検出に用いているMALD-TOF-MASSの感度の限界で、ある程度のSAAの濃度が必要である。いかに濃縮された状態でSAAを調整できるかの条件設定に時間がかかった。酸化修飾の件は非常に魅力的な方向性であるが、保存中、実験操作中にも酸化が進むこと、かつSAAの存在様式にも依存しており実験条件の策定に時間がかかっている。ただし、SAAの存在様式(脂質結合時か遊離時か)はSAAの機能にも関連した事象であり、ここを深く追求したい。
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Strategy for Future Research Activity |
特にSAAの酸化の事象を精力的に研究したい。我々は急性炎症でSAAが増加してくる意義は自身が酸化を受けることで、essentialな蛋白を保護していると考えており、SAAの酸化の状態を評価することが、生体の炎症のベクトルを間接的に把握できると考えている。具体的には、実験状態を安定させるために、操作中のSAA酸化の防止、生体試料でのSAA酸化再現性ある評価法を構築する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、参加して発表する予定であった国際学会がキャンセルされたこと(共同研究者も)ならびに物品の入荷が遅れているため。次年度は国際学会が再開されればそれに費やす。
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