2020 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism elucidation of complications of multiple myeloma on exosome analysis.
Project/Area Number |
19K07922
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
飯島 史朗 文京学院大学, 保健医療技術学部, 教授 (30222798)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エクソソームタンパク / 骨融解 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄腫細胞から分泌されるエクソソームは、多発性骨髄腫の様々な合併症発症への関与が強く疑われるものの、その機序は不明である。本研究は、多発性骨髄腫の骨融解病変発症機序解明のため、エクソソームの量的および質的評価を行うことを目的とした。2020年度は、多発性骨髄腫の増悪および抑制因子となり得るサイトカインで骨髄腫細胞株を刺激し、生成するエクソソームが内包するタンパク質より増加・減少する分子を探索した。 ヒト多発性骨髄腫細胞株2種を無血清培地で培養し、IL-6およびIL-27で刺激した。培養上清からエクソソームを回収し、分泌されるエクソソーム数とエクソソーム内包タンパク質を2次元電気泳動法および銀染色法を用いて解析した。その結果、無刺激の細胞とIL-6刺激を行った細胞から分泌されるエクソソーム数の解析結果では、いずれの細胞株においても、刺激4日目に細胞あたりのエクソソーム放出数が低下する傾向が認められた。 2次元電気泳動法でエクソソーム含有タンパク質を細胞株間で比較した結果、両細胞株ともにpI 6付近に高分子から低分子まで複数のタンパク質が検出されたが、高分子側のタンパク質は両細胞株に違いが認められた。IL-6刺激では、両細胞株ともに等電点は異なるものの高分子側でスポットの増加が見られた。IL-6とIL-27刺激を比較すると、IL-6刺激では高分子側のバンドが増加するのに対し、IL-27刺激では、低分子側のスポットが増加し、異なるサイトカイン刺激で、エクソソーム内包タンパク質の変化が見られた。 今後、2次元電気泳動法で刺激するサイトカインや細胞株による相違が認められたタンパク質について、質量分析や抗体を用いた解析によりタンパク質分子を同定し、タンパク質結合糖鎖についても検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞間接着への関与が明らかな糖鎖について、エクソソームのターゲティングに着目し、内包されるタンパク質や核酸について解析を行っている。 2020年度は、2019年度に引き続き、骨髄腫細胞株の増殖促進または抑制に関与する各種サイトカイン等で刺激したときの、エクソソーム分泌数、表面糖鎖、内包タンパク質について、さらにはmiRNAの変化について検討する予定であった。このうち、新型コロナウイルス感染症拡大による影響で、骨髄腫細胞株の増殖抑制因子による刺激を行った際の細胞数、表面糖鎖、miRNAの解析、および変化したエクソソーム内包タンパク質の同定について実施できず、研究計画がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス蔓延による度重なる緊急事態宣言の発出により、繰り返し行い再現性を確認するための細胞培養時間を十分に確保できない。このため、2021年度前半は、これまでに回収できた細胞上清中のエクソソーム表面糖鎖、エクソソーム内包タンパク質、およびmiRNAの解析を進める。 9月以降は、これまでできなかった再現性を確認するための検討や、検討対象とする骨髄腫細胞細胞株の増加、エクソソームと標的細胞の共培養による検討を行い、骨融解病変の発症機序について解析する。このために、骨髄腫細胞を様々なサイトカイン刺激して得られたエクソソームを破骨前駆細胞に作用させ、破骨細胞への分化について検討する。破骨細胞への分化は、多核化をギムザ染色、マーカー酵素である酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ染色で確認する。同時に、エクソソームをAlexaなどで蛍光標識し、破骨前駆細胞内へのエクソソーム取り込みについて蛍光顕微鏡で確認する。エクソソームの取り込み量については、細胞を溶解し、蛍光プレートリーダーで定量する。対照として破骨細胞への分化誘導因子であるRANKLとG-CSFによって破骨細胞を誘導し比較する。
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Causes of Carryover |
感染症が蔓延し研究が進行できなかったため、今年度後期に人員を増加させ、研究を推進する。
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