2020 Fiscal Year Research-status Report
2型糖尿病治療薬メトホルミンによる腸内細菌叢の変動
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19K07925
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
河野 緑 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00225385)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メトホルミン / 腸内細菌叢 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
メトホルミンは、2型糖尿病治療薬の1つであり、主に肝臓での糖新生を阻害することにより耐糖能を改善する。そのメカニズムは未だ不明の点が多いが、AMP活性化キナーゼの活性化による糖新生に関与する遺伝子発現の抑制やAMPK経路を介さないアデニルシクラーゼやグリセロリン酸シャトル抑制などが関与しているとされている。また、メトホルミンが腸内細菌叢を変化させることにより治療効果を高めているという報告もある。 本研究の目的はメトホルミンが腸内細菌叢にどのような影響を与えているのかをマウスを使って調べることである。具体的には、2型糖尿病モデルマウスであるC57BL/6JHamSLc-ob/obおよび同系統の野生型について、メトホルミン投与群とメトホルミン非投与群との腸内細菌叢の差異およびそれに付随すると考えられる胆汁酸組成の差異について調べる。 2019年度はゲージ不足のため、群飼育をした結果、個別の食餌量が不明となり、詳細な解析が困難であったが、2020年度は飼育匹数は減少したが、個別飼育を行った。メトホルミン投与による腸内細菌叢の変化としては、メトホルミン投与後にLactobacillus の割合が減少し、Bifidobacterium属は増加傾向がみられた。既報によると、メトホルミン投与後にAkkermansia muciniphila が増加するとの報告があるが、本研究ではA. muciniphila の増加は認められなかった。今後、解析方法の見直しを検討する。一方、メトホルミン投与によるB. adolescentis が増殖することが既報で報告されており、今回の結果はそれに矛盾しないものであった。 胆汁酸組成については、凍結乾燥を行った糞便からLC MS/MSによる胆汁酸解析の方法を確認したが、各飼育マウスのサンプルについての測定は終了していない。今後、速やかにの解析処理を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、研究代表者は、所属している大学の附属病院における新型コロナウイルス検出検査に関わる必要が生じたため、当該課題を進めるための時間が十分に確保できない状況に陥ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は想定外の事態で、研究を進めることが全くといっていいほどできなかった。 2021年度は、①メトホルミン投与による腸内細菌叢の変動について、ゲノム解析およびリアルタイムPCR法によるビフィズス菌、アッカーマンシア菌の変動について解析を行う。③メトホルミン投与による糞便の胆汁酸種の変動について解析を行う予定である。 また、研究代表者は2021年度が研究機関の最終年度に設定していたが、現時点で最終年度の1年間の延期についても想定する必要があると考えている。
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Causes of Carryover |
進捗状況欄にも記載させていただきましたが、諸藩の事情により、エフォート配分の達成が計画通りにいかず、研究の進捗はかなり遅れている状態に陥っております。 次年度使用額については、2020年度に、解析が達成できなかったサンプルの解析費用に使用させていただきます。 2021年度も当初の計画通りのエフォート配分達成が不可能な場合は、最終年度を繰り下げることも念頭にいれております。予定通りに研究遂行ができない状況を大変申し訳なく感じております。
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