2019 Fiscal Year Research-status Report
新規脳波バイオマーカーを用いた機械学習によるてんかんの診断手法の開発
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19K07964
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上原 平 九州大学, 医学研究院, 助教 (30631585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重藤 寛史 九州大学, 医学研究院, 教授 (50335965)
迎 伸孝 九州大学, 大学病院, 助教 (60532843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | てんかん / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳波で観察される棘波・鋭波などの発作間欠期てんかん性放電(IED)は、てんかんの診断において重要である。しかし、その同定はしばしば困難であり、過剰判読や見逃しが多い。近年、IEDが遠隔効果として、広範囲に脳波変化を引き起こすことが指摘されてきている。本研究では、このIEDの遠隔効果に基づいた、客観的な診断手法の開発を目指している。 本年度は、IED遠隔効果の頭皮上脳波におけるバイオマーカーの抽出を試みた。IEDは頭皮上脳波では、多くが観察できないため、てんかん外科手術の術前検査の一環として記録された、難治性焦点てんかん患者の頭蓋内脳波と頭皮上脳波の同時記録の解析を行った。年齢、電極留置部位、背景疾患、記録の質などに基づき、組み入れ基準を作成した。さらに、頭蓋内脳波記録をレビューしたところ、IEDが多量に出現する場合には、IEDによる遠隔効果を解析する時間窓の設定が困難であることが明らかになった。そのため、研究者間で議論し、IED頻度にも一定の組み入れ条件を加えることにした。まずは、IEDの好発時間帯であるノンレム睡眠時の解析を行うこととし、頭皮上脳波をもとに睡眠段階の判定を行い、患者ごとに解析区間のデータを抽出した。次に解析区間の頭蓋内脳波の解析を行い、IEDを視察的に同定した。IEDの出現時刻を基準として、その前後の頭皮上脳波を解析したところ、生理的な睡眠波の時空間的特徴が、IEDによって変化していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、頭蓋内脳波と頭皮上脳波の同時記録データの解析を行い、IEDに伴う変化を同定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
頭蓋内脳波と頭皮上脳波の同時記録データの解析をさらに進展し、IEDに伴う脳波変化のバイオマーカーを複数抽出する。これらを特徴量として、機械学習によっててんかんの脳波と非てんかんの脳波を判別する手法を開発する。
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Causes of Carryover |
大規模な脳波データベースの解析を予定しているが、準備が遅れているため、ストレージ などの関連物品や人件費・謝金に、次年度使用額が生じた。元々、次年度にかけて大規模データベース解析を行う予定であったため、元々の計画に加えて、今年度に行う予定であった解析の一部も次年度に行う。
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