2020 Fiscal Year Research-status Report
Reducing toxicity of disease-causative molecules with the aim of developing therapies for neurodegenarative diseases
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19K07970
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
足立 弘明 産業医科大学, 医学部, 教授 (40432257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 知子 産業医科大学, 医学部, 助教 (30596432)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポリグルタミン病 / HIKESHI / 凝集体形成抑制 / 分子シャペロン / 毒性軽減 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリグルタミン病などの神経変性疾患では、分子シャペロンーユビキチンープロテアソーム系(UPS)やオートファジーの機能を凌駕して変異蛋白質が蓄積し、神経変性が惹起される。ポリグルタミン病である球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)などの疾患では、原因遺伝子内のCAGリピートの異常延長により、それぞれ異なった病因蛋白質の神経組織内への異常な蓄積により、ニューロンなどが特異的に変性死に陥る。Heat shock protein(Hsp)あるいは分子シャペロンと呼ばれている蛋白質は、生体(細胞)が熱ショックに曝されると活性化され、変性して凝集しやすくなった蛋白質をrefold、あるいは分解する。また、近年、分子シャペロンを核内へ運搬する役割を果たすHIKESHIが熱ストレスに対する細胞の防御機構を増強して、細胞死を抑制することも明らかになり、分子シャペロンの細胞内での局在変化も細胞の機能改善に重要と考えられている。本研究は、代表的な神経変性疾患である各種のポリグルタミン病の病態を明らかにし、有効な病態抑止治療を開発することを目的とする。SBMA、DRPLAの培養細胞モデルにおいて、HIKESHI発現量の変異AR、atrophin-1の毒性への効果の検証、病因蛋白質に特異性の高い治療法開発を行う。さらに、DRPLAマウスモデルにてHIKESHI高発現が個々の疾患の病態に基づいて表現型を改善するか否かを検証する。また、個々の病因蛋白質において、蛋白質分解系の作用を操作することによる病因蛋白質の安定化や異常な凝集を抑制する治療法を開発する。次には、低分子化合物のスクリーニングを行い、各種のポリグルタミン病の新規治療法を開発する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年、HIKESHIの遺伝子変異が大脳の白質脳症を起こすことが報告され、神経変性疾患の発症機構として、細胞内の変異蛋白質を選択的に分解し除去する機構が破綻していることが示唆されている。UPSは、細胞内の変異蛋白質を処理して無毒化する品質管理機構として重要であり、このUPSが効率よく働くには、蛋白質の立体構造の異常を認識する分子シャペロンが介在することが必要である。分子シャペロンを核内へ運搬する役割を果たすHIKESHIは熱ストレスに対する細胞の防御機構を増強して細胞死を抑制するが、実際に、CRISPR-Cas9システムを用いたHIKESHIのノックアウトが変異したポリグルタミン病の病因蛋白質を選択的に蓄積させることを私たちは見い出した。さらに、HIKESHIを高発現すると、ポリグルタミン病の変異蛋白質の分解がより促進されることも見いだした。HIKESHIの高発現による分子シャペロンの細胞内発現分布の変動や部位特異的なシャペロン機能の増強が神経変性疾患の病態の改善につながるかをポリグルタミン病の培養細胞及びマウスモデルを用いて検討している。さらに、HIKISHI高発現の治療効果を検討するために、chicken β-actinプロモーターの調節下でHIKISHIを高発現するマウスモデルを作成し、DRPLAマウスモデルとの交配を実施し、HIKISHI高発現の効果を解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
オートファジーと分子シャペロンーUPSの重要な調節因子を探索して、これらの調節因子の誘導による2つの経路を協働して利用した、病因蛋白質を選択的に強力に分解する治療法を開発することは、従来にない神経変性疾患の治療や予防法として新たな展開になると考えられている。近年、神経変性疾患の発症機構として、細胞内の蛋白質の品質管理、特に蛋白質の立体構造の正常と異常を区別して、損傷蛋白質を選択的に分解し除去する機構が破綻していることが示唆されている。UPSは、細胞内の変異蛋白質を処理して無毒化する品質管理機構として重要であり、このUPSが効率よく働くには、蛋白質の立体構造の異常を認識する分子シャペロンが介在することが必要である。分子シャペロンを核内へ運搬する役割を果たすHIKESHIは熱ストレスに対する細胞の防御機構を増強して細胞死を抑制する。そこで、HIKESHIの高発現による分子シャペロンの細胞内発現分布の変動や部位特異的なシャペロン機能の増強が病態の改善につながるかをポリグルタミン病の培養細胞及びマウスモデルを用いてさらに検討する。具体的には、神経培養細胞(Neuro2A)に正常及び変異したAR、Atrophin-1を発現させてHsp70を核内に誘導する作用を有するHIKESHIを様々な量で高発現させて、それぞれの蛋白質の発現量の変化を観察し、また、HIKESHIをノックダウンしてそれぞれの病因蛋白質の発現量を検討する。さらに、HIKISHI高発現の治療効果を検討するために、chicken β-actinプロモーターの調節下でHIKISHIを高発現するマウスモデルとDRPLAマウスモデルとの交配によってダブルトランスジェニックマウスを作成し、HIKISHI高発現の効果を解析する。
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Causes of Carryover |
試薬や消耗品が計画していた金額よりも安価で購入できた結果、153円が残ったためそのまま繰り越しました。 これは、次年度の経費と合算し、試薬等の購入に使用致します。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Eating Disorder Neuroimaging Initiative (EDNI): a multicenter prospective cohort study protocol for elucidating the neural effects of cognitive behavioral therapy for eating disorders.2021
Author(s)
Hamatani S, Hirano Y, Sugawara A, Isobe M, Kodama N, Yoshihara K, Moriguchi Y, Ando T, Endo Y, Takahashi J, Nohara N, Takamura T, Hori H, Noda T, Tose K, Watanabe K, Adachi H, Gondo M, Takakura S, Fukudo S, Shimizu E, Yoshiuchi K, Sato Y, Sekiguchi A.
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Journal Title
BMJ Open
Volume: 11
Pages: e042685
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Olfactory-cognitive index distinguishes involvement of frontal-lobe shrinkage as in sarcopenia from shrinkage of medial temporal areas and global brain as in Kihon-Checklist frailty/dependence in older subjects with progression of normal cognition to Alzheimer’s disease.2021
Author(s)
Iritani O, Okuno T, Miwa T, Makizako H, Okutani F, Kashibayashi T, Suzuki K, Hara H, Mori E, Omoto S, Suzuki H, Shibata M, Adachi H, Kondo K, Umeda-Kameyama Y, Kodera K, Morimoto S.
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Journal Title
Geriatr Gerontol Int
Volume: 21
Pages: 291-298
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Arginine is a disease modifier for polyQ disease models that stabilizes polyQ protein conformation.2020
Author(s)
Minakawa EN, Popiel HA, Tada M, Takahashi T, Yamane H, Saitoh Y, Takahashi Y, Ozawa D, Takeda A, Takeuchi T, Okamoto Y, Yamamoto K, Suzuki M, Fujita H, Ito C, Yagihara H, Saito Y, Watase K, Adachi H, Katsuno M, Mochizuki H, Shiraki K, Sobue G, Toda T, Wada K, Onodera O, Nagai Y.
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Journal Title
Brain
Volume: 143
Pages: 1811-1825
DOI
Peer Reviewed
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