2020 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病におけるタウ蛋白凝集機構のモデル細胞確立
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19K07974
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
高橋 哲也 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (00435942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大古 善久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (10304007)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβペプチド / エンドサイトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
タウ蛋白の細胞内異常集積により発症する各種タウオパチーの中でもアルツハイマー病は、タウ蛋白の集積の上流にアミロイドβペプチド(Aβ)の細胞外蓄積が位置していると考えられている。本研究では細胞外のAβがエンドサイトーシスにより内在化することにより細胞内のタウ蛋白に作用するとの仮説の元、その内在化機構を明らかにすることを目的として次のことを行っている。 ①表面にAβを結合させた磁性体のナノ粒子を細胞に投与し、細胞内小胞がナノ粒子を内在化したままの状態で細胞を破砕し、マグネットで小胞を回収することにより、この小胞の成分を調べる。②これに加えて探索的に既知の様々なエンドサイトーシスの機序がAβの内在化に関与しているか逐一検討することを並行して行う。 ①については、Aβで表面修飾した2種類の磁性体ナノ粒子の作成を続けており最終段階にあると考えている。本年度はこれらのナノ粒子を細胞に投与する実験を行う。この小胞の主な構成蛋白を質量分析することにより同定しAβが内在化している小胞がどのようなコンパートメントであるのかを明らかにする。 また②については種々のエンドサイトーシスの機序についてそれぞれのマーカーと傾向標識したAβの細胞内局在を比較することにより、主なAβの内在化経路を明らかにすることができた。それらのエンドサイトーシス機構に対する特異的な阻害剤を用いてAβ内在化をブロックすることを試みることによって、同ペプチドの内在化の機序を推定し得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究にて明らかになったアミロイドβペプチドの内在化経路について確認実験を行いつつ現在論文作成を進めている。一方ナノ粒子の作成はほぼ終了し、細胞投与を行いマグネットによる回収実験を準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
アミロイドβペプチド(Aβ)で表面修飾した2種類の磁性体ナノ粒子をそれぞれ培養細胞に投与した後に、細胞を破砕しナノ粒子を内包する小胞をマグネットを用いて回収する。この小胞の主な構成蛋白を質量分析にて同定し、Aβが内在化している小胞がどのようなコンパートメントであるのかを明らかにする。この結果をナノ粒子と結合していないAβを用いて検証し、別途論文として報告することを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大に伴い旅費を計上しなかったことならびに、当該年度のペプチドの使用量が当初予定より少なくなったため次年度使用額が大きいものとなった。最終年度に当たる年度は引き続き旅費が発生しないことが予想される一方、これまで以上にペプチドならびにナノ粒子に支出を要する見込みである。
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