2020 Fiscal Year Research-status Report
髄鞘形成期の変異αシヌクレイン発現による世界初の一次進行型多発性硬化症モデル開発
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19K07976
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 浩雄 九州大学, 大学病院, 特任講師 (00701830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雑賀 徹 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00744880) [Withdrawn]
松瀬 大 九州大学, 医学研究院, 助教 (70596395)
山崎 亮 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10467946)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | αシヌクレイン / 一次進行型多発性硬化症 / 多系統萎縮症 |
Outline of Annual Research Achievements |
多系統萎縮症(MSA)と多発性硬化症(MS)では、神経炎症、オリゴデンドログリアの喪失、脱髄、ミクログリアの活性化が見られ、 α-シヌクレイン(α-SYN)の蓄積は一部の一次進行型多発性硬化症(PPMS)患者でも報告されている。したがって、MSAとMSの病理には共通のメカニズムが示唆される。我々は、MSA-小脳型(MSA-C)およびPPMSの新規マウスモデルを開発し、MSA-C / PPMSの新規創薬ターゲットの探索を行ってきた。TetO-α-SYN A53T Tg/ + ; PLP-tTA Tg / + トランスジェニックマウス(Tgマウス)を作成し、8週齢よりオリゴデンドログリアで変異型ヒトA53Tα-SYNを発現させ解析を行った。Tgマウスは進行性の運動失調、片麻痺、対麻痺を呈した。リン酸化α-SYNが蓄積したオリゴデンドログリアは、コネキシン(Cx)47の広範な喪失を示し、反応性アストログリアはCx43 / Cx30の広範な喪失を示し、広範な脱髄を認めた。活性化ミクログリアはアルギナーゼ-1(Arg1)、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)の発現がみられた。治療的study で、発症早期のα-SYNの発現抑制では、運動機能の改善、病理所見の改善がみられたが、発症後期からのα-SYNの発現抑制では、それらは部分的にしかみられなかった。CSF1R阻害剤を用いた治療的study では、ミクログリアは、CSF1R阻害剤の予防的および治療的投与によって減少がみられたが、運動機能の改善は見られず、発症前の投与ではむしろ運動機能の増悪、リン酸化α-SYNの蓄積や脱髄を悪化させる傾向がみられた。α-SYNの早期除去はMSA-C / PPMSの新しい治療法である可能性があり、私たちのモデルはこれらの疾患における薬物スクリーニング、またメカニズム解析のための有用なツールと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一次進行型多発性硬化症(PPMS)の新規マウスモデルを樹立し、その病理学的解析を行い、いくつかの治療ターゲットに関し実験をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立したマウスモデルを用い、オリゴデンドログリアの喪失のメカニズム、脱髄のメカニズムを明らかにし、さらに、活性化ミクログリア/マクロファージの scRNA seq 解析を行い、一次進行型多発性硬化症(PPMS)の治療ターゲットを探索し、治療を試みる。
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Causes of Carryover |
研究費の使用状況としてはおおむね予定通りであったが、少額の残金が生じたため、次年度の使用額とした。
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Research Products
(3 results)