2021 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脳オルガノイドを用いた神経変性疾患を引き起こすリピート病の病態解析
Project/Area Number |
19K07978
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
桐山 敬生 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80571025)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉江 和馬 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60347549)
松井 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 特任講師 (90528605)
七浦 仁紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00827909)
塩田 智 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70837062)
井口 直彦 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (50838232)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 脳オルガノイド / RAN translation / ALS / FUS / C9orf72 / 核内封入体病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では脳オルガノイドの特性を解析し、非翻訳領域のリピート病の神経変性疾患の分子病態メカニズム明らかにするための研究である。 前年からの脳オルガノイドのOGD/Rストレス下での反応についての論文を発表した。さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、スタッフ異動や患者由来のiPS細胞の入手評価に時間がかかったため、非翻訳領域リピートからRAN translationにより産生されると考えられるpoly-peptides、特にC9orf72遺伝子のGGGGCCリピートから産生されるPR-poly-dipeptidesを用いて細胞に与える毒性を評価することとした。DNA修復蛋白としても働くFUSとの関連を調べるため、GFP融合FUSの発現した細胞の核内にLaser micro-radiationによりDNA損傷を起こし、PR-poly-dipeptides下でもFUSが集積し、DNA損傷修復過程にPR-poly-dipeptidesが大きな影響を与えていないことを確認した。また、PR-poly-dipeptidesは核内輸送タンパクのKapβ2に、FUSと競合して直接結合し、Kapβ2の液-液相分離制御能を破綻させることを明らかにした。また、PR-poly-dipeptidesは、中間径フィラメントのネットワークを増加により細胞の硬さを増強し、Thbs1などの細胞接着に関わるタンパクの発現増加により局所接着を強くすることが分かった。PR-poly-dipeptidesが細胞内ストレスシグナル伝達を変化させ細胞を硬化させ、メカニカルストレスへの応答の悪化により細胞の脆弱化も引き起こすと考えられた。 また、リピート病の患者の検索も行い、4例の神経核内封入体病の患者を検討し、遺伝学的診断と皮膚病理、今後のiPS細胞の作成に向けての皮膚線維芽細胞培養と凍結保存を行った。
|