2021 Fiscal Year Annual Research Report
Alzheimer's disease related biomarkers in progressive supranuclear palsy
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19K07991
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
春日 健作 新潟大学, 脳研究所, 助教 (70547546)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 進行性核上性麻痺 / PSP / 脳脊髄液 / CSF / バイオマーカー / Aβ / tau |
Outline of Annual Research Achievements |
進行性核上性麻痺(PSP)は比較的稀な神経変性疾患である。PSPの診断はこれまで病歴、神経学的診察、MRIなどの脳形態画像により行われてきたが、病初期の診断は困難であった。申請者らはこれまでにPSP患者の脳脊髄液(CSF)内で、アルツハイマー病(AD)関連分子であるβアミロイド(Aβ)とtauが健常高齢者にくらべ低下していることを見出している。本研究は、PSP患者のCSF内でAβとtauが低下する病的意義を明らかにすることで、PSPの診断バイオマーカーとしての確立を目的とした。 本研究では、PSP患者を含むCSFをもちいたアミロイド前駆体蛋白(APP)断片およびAβ分子種の解析、神経障害マーカーであるニューロフィラメント軽鎖(NfL)とtauの相関解析、およびPSPのin vitroモデルを構築し、病的tauによるAβ産生への影響の検討を行った。 CSFの解析から、PSPにおいてはすべてのAβ種が低下しており、ADでの脳内のAβ沈着とは異なる機序によると考えられた。さらにPSPではCSF内のNfLが増加しており、CSF tauは必ずしも神経障害を反映していないと考えられた。このことは、神経変性疾患であるPSP患者のCSFにおいてtauが低下している知見と矛盾しない結果であった。APPを安定発現するNeuro2a細胞に、PSP病理を呈することが報告されているヒト変異型tau遺伝子を導入したところ、Aβの産生(プロセッシング)を低下させ、培養液中のAβ低下させた。このことから、神経細胞内にPSP病変に関与する異常tauが発現するとAβ産生が低下すること考えられ、PSP患者のCSF内でのAβ低下の機序を明らかにした。 今回の研究成果から、脳脊髄液中のAβ分子種およびtauの発現パターンを確認することで、より正確なPSPの診断が可能になることが期待される。
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Research Products
(2 results)