2019 Fiscal Year Research-status Report
リピート病の中枢神経病態の多面的解明―筋強直性ジストロフィーを中心に
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19K07992
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 正紀 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20359847)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / 神経ネットワーク / RNA / 中枢神経 / 筋強直性ジストロフィー / リピート病 |
Outline of Annual Research Achievements |
リピート病をはじめとする神経変性疾患の病態解明について、細胞内分子レベルの理解は急速に進んだが、領域あるいは細胞選択性障害の機序が重要な課題として残されている。近年ヒト正常脳の各部位における網羅的解析が精力的に行われその結果が蓄積している。筋強直性ジストロフィー1型はDMPK遺伝子の非翻訳領域におけるCTGリピートの伸長による疾患である。筋疾患とされるが、成人型での性格変化・高次機能障害、先天型での精神発達遅滞、学習障害、自閉症スペクトラム障害(ASD)など、中枢神経症状も呈し、神経変性疾患の要素も有する。これまでの研究の結果、リピートを含んだRNAの核内凝集によりRNA結合タンパクの核内での量的・質的変化が生じ、二次的にさまざまなスプライス異常を生じ、多彩な症状を呈するという、RNA病としての病態理解が非常に進んでいる。 本研究ではリピート病の中でも病態研究が進んだ筋強直性ジストロフィー1型を主たる対象とし、剖検脳を用いて脳領域ごとに網羅的解析を行う計画である。まず今年度は筋強直性ジストロフィー1型および対照神経変性疾患について、研究協力者から剖検脳検体の供与を受け、トランスクリプトーム解析として、脳領域ごとにmRNAの量的(遺伝子発現)変化やスプライス様式の変化を網羅的に検討するため、次世代シークエンサーを用いたRNAseqを行った。 また、実際の筋強直性ジストロフィー1型患者で、臨床神経心理学的検査・MRI画像計測を行った。また、自閉症などと同様の神経ネットワーク活動の異常が存在するか、近年進歩の著しい脳磁図を用いた神経ネットワーク活動の機能解析を行い、病態との関連性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋強直性ジストロフィー1型および対照となる神経変性疾患について、予定をしていたRNAseq解析が初年度内に完了した。また、患者を対象とした脳画像・脳磁図などによる神経ネットワーク機能の解析についても、5例について神経心理学的解析・MRI画像・MEG計測を行った。次年度にデータ解析を行う また、本研究に関連する病態研究・治療開発研究についても国際共同研究が進展し論文が受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に得られた膨大なRNAseqデータについて、国内外のバイオインフォマティクスの専門家などの協力も得ながら様々な解析を進める。それら解析結果を参考にしながら、エピゲノム解析などさらなる解析について計画をすすめる。 また、神経ネットワーク機能の解析についても、5例について探索的解析を行いながら、例数を増やすことも検討する。
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Causes of Carryover |
初年度RNAseqの委託などで多くの経費が必要となる見込みであったが、研究協力者からの経費拠出があったため、本研究費を使用せずに研究が遂行できた。本梨の計画では大幅に不足する見込みであった、来年度以降の各種解析のための試薬の購入に充てる。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] A slipped-CAG DNA-binding small molecule induces trinucleotide-repeat contractions in vivo.2020
Author(s)
Nakamori M, Panigrahi G, Lanni S, Gall-Duncan T, Hayakawa H, Tanaka H, Luo J, Otabe T, Li J-X, Sakata A, Caron M-Ch, Niraj J, Prasolava T, Chiang K, Masson J-Y, Wold MS, Wang X, Lee MYWT, Huddleston J, Munson KM, Davidson S, 中略 Takahashi MP, Eichler EE, Shlien A, Nakatani K, Mochizuki H, Pearson CE.
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Journal Title
Nat Genet.
Volume: 52
Pages: 146-159
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Straightjacket/α2δ3 deregulation is associated with cardiac conduction defects in myotonic dystrophy type 1.2019
Author(s)
Plantie E, Nakamori M, Renaud Y, Huguet A, Choquet C, Dondi C, Miquerol L, Takahashi M, Gourdon G, Junion G, Jagla T, Zmojdzian M, Jagla K
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Journal Title
eLife
Volume: 8
Pages: e.51114
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Cardiac conduction disorders as markers of cardiac events but not sudden death in myotonic dystrophy type 1.2019
Author(s)
Itoh h, Hisamatsu T, Tamura T, Segawa K, Takahash T, Takada H, Kuru S, Wada C, Suzuki M, Suwazono S, Sasaki S, Okumura K, Horie M, Takahashi M, Matumura T.
Organizer
The 12th International Myotonic Dystrophy Consortium Meeting
Int'l Joint Research
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