2021 Fiscal Year Annual Research Report
抗Aβオリゴマー最小フラグメント抗体を用いた次世代抗体医薬品の開発
Project/Area Number |
19K07998
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
藪内 健一 大分大学, 医学部, 助教 (10763807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 悦朗 大分大学, 医学部, 教授 (70219468)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Aβオリゴマー / アルツハイマー型認知症 / Aβオリゴマー抗体 / CDRペプチド / マイクロダイアリシス |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー型認知症(AD)の根治療法の創製を目指して,申請者らはADの真の病態基盤分子とされるAβオリゴマーのみを特異的に認識する抗体を独自に開発しており,実臨床応用に向けた治験が進行中である.他方で抗体医薬品は,高価であり中枢移行性が低いことが弱点である.こうした視点から,安価で優れた中枢性移行性を持つ次世代の抗体医薬品療法の創製を期して,上記のフルボディ抗体を起点とした新たに最小フラグメント抗体を開発した.本研究では,この最小フラグメント抗体の中枢移行性と,モデル動物を用いての記憶障害発症予防効果について検討した.令和元年度は,最小フラグメント抗体が末梢投与で容易に血液脳関門を通過し,良好な中枢移行性を示すことを明らかとした.令和2年度は同抗体をモデル動物の皮下及び鼻腔内に投与し,異なるタイムポイントで作成した脳スライスを用いた組織化学的検討を行い,末梢投与された同抗体が海馬や大脳皮質などを中心にびまん性に分布することを見出した.令和3年度は,ADモデルマウスに対してこの抗体を慢性投与し,水迷路課題にてその記憶障害発症予防効果を検討した.その結果,本最小フラグメント抗体はモデルマウスで惹起された記憶障害を,野生型マウスと同水準まで改善した.本研究から,最小フラグメント抗体が,① 優れた中枢移行性を有すること,② フルボディ抗体に匹敵する強力な記憶障害予防効果を持つことが明らかとなった.さらに本抗体がこれまでにないユニークな細胞内挙動を持つことも示唆された.今後も本研究を継続し,引き続き本最小フラグメント抗体のより詳細な作用機序の解明と,実臨床への応用に向けた研究を推進していく..
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Research Products
(1 results)