2019 Fiscal Year Research-status Report
Severity assessment using fluorescein fluorescence imaging in a rat sciatic nerve entrapment model
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19K08000
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
横井 卓哉 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (90711820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 充弘 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (40309571)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 末梢神経絞扼性障害 / フルオレセイン / 坐骨神経慢性絞扼モデル / FITC / 蛍光輝度 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は過去に、臨床分野において手根管症候群・肘部管症候群といった代表的な末梢神経絞扼性障害に対して、手術中にインドシアニングリーンを投与し、末梢神経の血管を蛍光造影することにより、病変部の詳細な血流動態を把握することで術中重症度評価を行ってきた(基盤研究C「23592171」「C26462247」)。また、インドシアニングリーン蛍光造影では評価が困難な、さらに微小な血管の動態を把握すべく、フルオレセインを投与し、さらなる微小血管の術中造影を試みている。しかしながら、末梢神経外科手術は、圧倒的に良性疾患が多いため対象となる神経を切除する機会が少なく、蛍光血管造影の結果と病変部の組織学的評価・分子生物学的評価との関連が不明であったため、疾患モデル動物を用いた蛍光血管造影を行い上記を解明できれば、基礎実験データに基づいたより正確な術中蛍光血流評価を行うことが出来るのではないかと着想するに至った。そこで初年度(2019年度)の目的は、各重症度のマウス坐骨神経慢性絞扼モデルに対して、フルオレセイン蛍光造影剤(FITC)を用いて末梢神経微小血管の蛍光造影輝度評価を行い、同評価法の妥当性を検証することとした。具体的な方法は、マウスの左坐骨神経に、内径0.51mm・長さ3mmのシリコンチューブを巻いて絞扼し、各重症度(絞扼なし、2,4,6週間絞扼)の末梢神経慢性絞扼モデルを作成した。各絞扼期間にてFITCを投与して絞扼部の蛍光血管造影を行い、解析ソフトにて絞扼部の蛍光輝度を定量化し、各重症度間で比較した。その結果、FITC投与による造影輝度は、絞扼週数が伸びるにつれて、すなわち慢性絞扼の重症度が強くなるにつれて有意な相関をもって低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の仮説どおり、FITC投与による造影輝度は、絞扼週数が伸びるにつれて、すなわち慢性絞扼の重症度が強くなるにつれて有意な相関をもって低下していることを評価することができた。現在、末梢神経絞扼性障害を始めとする末梢神経外科手術において、術前にCT/MRIといった画像診断では、局所の微小栄養血管を評価することは困難であり、かつ対象となる末梢神経の栄養血管を術中に詳細に把握する有効な手法はなかった。近年、手術顕微鏡の発展により、今まで肉眼レベルでは評価困難であった末梢神経の微小な栄養血管でも、術中に顕微鏡下に拡大して蛍光造影を観察し記録することができるようになってきた。末梢神経外科手術は、圧倒的に良性疾患が多いため対象となる神経を切除する機会が少なく、蛍光血管造影の結果と病変部の組織学的評価・分子生物学的評価との関連が不明であったため、疾患モデル動物を用いた蛍光血管造影を行い上記を解明できれば、基礎実験データに基づいたより正確な術中蛍光血流評価を行うことが出来るが、今回、マウス坐骨神経慢性絞扼モデルにおいて、末梢神経の絞扼の重症度が強くなれば、蛍光造影による輝度が確かに低下することを示すことができたため、今後は造影後のマウス坐骨神経を採取し、組織学的に検証を行うことで、蛍光輝度の変化が何によりもたらされるのかを検証することが可能になり、次年度への研究継続への礎とすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
末梢神経外科手術は、圧倒的に良性疾患が多いため対象となる神経を切除する機会が少なく、蛍光血管造影の結果と病変部の組織学的評価・分子生物学的評価との関連が不明であったため、疾患モデル動物を用いた蛍光血管造影を行い上記を解明できれば、基礎実験データに基づいたより正確な術中蛍光血流評価を行うことが出来る。よって今後は当初の計画どおり、Sciatic Functional Indexや温熱試験、電気生理学的検査を行い、モデル動物の末梢神経の慢性絞扼の重症度ごとに、運動・知覚機能を評価する。また犠牲死時に腓腹筋湿重量を計測し、腓腹筋を採取し組織学的重症度の評価を行う。さらに病変部の坐骨神経を採取し軸索変性・線維化の程度をトルイジンブルー染色ならびにマッソントリクローム染色を用いて、投与したフルオレセインの末梢神経における分布を抗フルオレセイン抗体による免疫染色を用いて定量評価し、先に記録した蛍光造影データとの関連を調べていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度(2019年度)の実験にかかった費用は主に、偏光フィルター購入費、実験動物購入費、またその他の試薬であり、偏光フィルター以外は比較的低額のものであったため、予定されていた該当年度の所要額を下回ることとなった。しかしながら今後は採取した末梢神経の組織学的評価を行うなかで、免疫組織学的評価を含めた実験を施行する予定であり、次年度(2020年度)にはこの実験のための試薬購入費として相当額が必要となる予定であり、これらの購入費用に当てる予定としている。
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Research Products
(16 results)