2021 Fiscal Year Annual Research Report
HAMにおけるウイルス感染細胞に起因した中枢神経傷害分子機構の解明
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19K08004
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
新谷 奈津美 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 助教 (80440353)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HTLV-1 / HTLV-1関連脊髄症 / 中枢神経 / 神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)関連脊髄症(HAM)は、HTLV-1感染細胞に起因した過剰な免疫応答による脊髄の慢性炎症によって引き起こされる神経障害を特徴とする難治性疾患である。HTLV-1の感染は脊髄病変部において浸潤したT細胞のみに確認されることから、脊髄における感染T細胞を中心とした過剰な免疫応答による慢性炎症病巣の形成・維持が病態の中心であると考えられており、その機構を明らかにすることがHAM/TSPの病態理解には重要である。 本年度は、HTLV-1感染細胞を含むHAM免疫細胞による神経障害作用について解析を行い、HAM患者由来末梢血単核細胞(HAM-PBMC)が神経細胞株(NB-1)を障害する活性を有することを見出した。また、神経炎症反応の中心的な役割を果たし、神経の保護/損傷に深く関わっているグリア細胞(アストロサイトやミクログリア)に対するHAM-PBMCの作用を検討した結果、HAM-PBMCは各細胞株(アストロサイト細胞株:U251、ミクログリア細胞株:HMC3)に対して神経障害型アストロサイトまたはミクログリアに類似する遺伝子発現変化を誘導し、協調的に神経細胞を障害することを明らかとした。更に、以上のHAM-PBMCの活性における HAM感染細胞特異的に発現上昇するRGMaの重要性を検討した結果、RGMa阻害抗体がHAM-PBMCによるU251 またはHMC3における神経障害型アストロサイトまたはミクログリア特異的な遺伝子発現の上昇を抑制することを証明した。 以上の結果から、HAM-PBMCは直接的またはグリア細胞の細胞機能変化を介して協調的に神経障害に作用すること、また、感染細胞に発現するRGMaがHAM-PBMCによるグリア細胞の機能変化を誘導する際の作用因子としてのはたらきを有することを明らかにすることができた。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Health-related quality of life evaluation using the Short Form-36 in patients with human T-cell leukemia virus type 1-associated myelopathy.2022
Author(s)
Kimura M, Yamauchi J, Sato T, Yagishita N, Araya N, Aratani S, Tanabe K, Horibe E, Watanabe T, Coler-Reilly A, Nagasaka M, Akasu Y, Kaburagi K, Kikuchi T, Shibata S, Matsumoto H, Koseki A, Inoue S, Takata A, Yamano Y.
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Journal Title
Front Med
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed
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[Journal Article] Efficacy of corticosteroid therapy for HTLV-1-associated myelopathy: A randomized controlled trial (HAMLET-P).2022
Author(s)
Yamauchi J, Tanabe K, Sato T, Nakagawa M, Matsuura E, Tsuboi Y, Tamaki K, Sakima H, Ishihara S, Ohta Y, Matsumoto N, Kono K, Yagishita N, Araya N, Takahashi K, Kunitomo Y, Nagasaka M, Coler-Reilly ALG, Hasegawa Y, Araujo A, Jacobson S, Grassi MFR, Galvao-Castro B, Bland M, Taylor GP, Martin F, Yamano Y.
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Journal Title
Viruses
Volume: 14(1)
Pages: 136
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] リアルワールドデータにより示されたHAMの排尿障害に対するミラベグロンの有用性.2021
Author(s)
飯島直樹, 山内淳司, 髙梨世子, 太刀川慶史, 八木下尚子, 新谷奈津美, 荒谷聡子, 田辺健一郎, 佐藤知雄, 高田礼子, 山野嘉久.
Organizer
第7回日本HTLV-1学会学術集会
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