2020 Fiscal Year Research-status Report
E/I balance disruption in tau-related dementia
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19K08005
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
高堂 裕平 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, 主幹研究員(任常) (60593564)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | タウオパチー / 興奮抑制バランス / 磁気共鳴スペクトロスコピー / ポジトロン断層撮影 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症病態の神経回路の興奮と抑制のバランス(E/Iバランス)破綻の実態は何か?異常タウ蛋白は神経障害の主要因の一つとされるが,その過程にE/Iバランスの破綻がどう関与するのかは不明である.認知症病態では興奮毒性が想定される一方で,活性化アストロサイト由来のγアミノ酪酸(GABA)も病態悪化に関与することが示唆されている.磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)は局所神経回路におけるグルタミン酸(興奮性)・GABA(抑制性)の濃度バランスを非侵襲に計量する唯一の手段であり,ポジトロン断層法(PET)は,異常タウ蛋白量,活性化アストロサイトを非侵襲に評価できる手段である.本研究ではタウ蛋白蓄積型モデルマウス(rTg4510)のMRS・PETイメージングと生化学実験により,認知症タウ病態におけるE/Iバランス破綻機構を明らかにすることで,認知症治療法開発の糸口を探る. 2020年度はrTg4510マウスの病初期(3-4か月)・進行期(6-7か月)のMRS測定を実施し、タウ病態の評価を実施した。前年度に評価した覚醒下と麻酔下の比較により、本実験は麻酔下で実施した。4か月齢から野生型マウスに比してrTg4510の海馬では浸透圧調整物質の低下を認め、皮質ではGABAの軽度上昇を認めた。6か月齢では神経障害を示唆する代謝物の濃度低下を海馬および皮質の両領域で認めた。GABA染色ではrTg4510のアストロサイトに染色がみられた。以上、MRSでの評価により病初期にrTg4510では興奮・抑制バランスの障害を示唆するGABAの一過性上昇の存在が疑われた。 同時期にPM-`PBB3でタウの評価を行ったところ、rTg4510の月齢とともにPM-PBB3が増加した。PM-PBB3の集積量は、MRSで測定する神経機能を反映する代謝物濃度と逆相関し、タウと神経障害の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の主たる実験として計画していたMRSおよびPET実験が順調に実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に引き続きMRS, PET, 二光子イメージングでの病態評価を継続する.摘出脳:マウスの摘出脳を用いたメタボロームでは,グルタミン酸,GABA量の測定に加え,GABA合成の前駆体の一種プトレシン(Heja et al. 2012)の測定を行う.活性化アストロサイトに関与する分子をqPCRや免染で評価し,rTg4510マウスのアストロサイトのフェノタイプを評価する(Liddelow et al. 2017).
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