2022 Fiscal Year Research-status Report
シナプス分子に対する新規自己抗体による難治性精神症状の病態解明
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19K08011
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
塩飽 裕紀 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, テニュアトラック准教授 (90747502)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 自己抗体 / 自己免疫性精神病 / neurexin 1 / NCAM1 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝的・疫学的研究から、統合失調症の病態の一部に自己免疫病態が疑われてきたが、その詳細は不明であった。我々は統合失調症患者387名を解析し、8名にシナプス分子NRNX1に対する自己抗体が血液・髄液中に存在することを見いだした。自己抗体が陽性になった患者血清から抗NRXN1自己抗体を含むIgGを精製し、分子間結合に対する影響の解析、またマウス髄腔内にそれを投与して、神経電気生理学的解析、スパイン・シナプスの解析、統合失調症関連行動が誘発されるかの解析を行った。スパイン・シナプスの解析は2光子顕微鏡を用いて行った。また、患者血清から自己抗体を除去したIgGで、これらの病態が引き起こされなくなることを解析した。その結果、統合失調症の抗NRXN1自己抗体は、抗原分子の分子間結合を阻害すること、脳の電気生理学的特性を変化させること、スパイン・シナプスが減少すること、またマウスで統合失調症関連行動(認知機能の低下、プレパルスインヒビションテス トの異常、社交性の異常)を誘発することを見いだした。本研究で明らかになった抗NCAM1自己抗体は、統合失調症のサブタイプを明らかにするマーカーかつ、除去するべき治療対象である可能性があり、新しい診断・治療に発展する可能性がある。これらの結果は下の論文として発表した。
Shiwaku H, Katayama S, Gao M, Kondo K, Nakano Y, Motokawa Y, Toyoda S, Yoshida F, Hori H, Kubota T, Ishikawa K, Kunugi H, Ikegaya Y, Okazawa H, Takahashi H. Analyzing schizophrenia-related phenotypes in mice caused by autoantibodies against NRXN1α in schizophrenia. Brain Behav Immun. 2023;111:32-45.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統合失調症患者で抗NRXN1自己抗体を発見し論文として発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
統合失調症の自己抗体を複数発見しており、引き続き病態解析を行う。
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Causes of Carryover |
節約して研究を行った結果、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(5 results)