2020 Fiscal Year Research-status Report
染色体22q11.2欠失がもたらす脳内ストレス脆弱性機構の解明
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19K08015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有岡 祐子 名古屋大学, 医学部附属病院, 特任講師 (10709497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東島 恵美子 (宍戸恵美子) 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 特別協力研究員 (40723101)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 22q11.2欠失 / iPS細胞 / 小胞体ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
22q11.2欠失症候群(22q11.2DS)患者は統合失調症や知的能力障害、自閉スペクトラム症、てんかん、パーキンソン病といった様々な精神神経疾患に対して非常に高い発症リスクを有する。そのため、22q11.2DS患者の脳病態は喫緊の課題である。この課題に取り組むため本研究では、22q11.2DS患者iPS細胞から誘導した神経系細胞、特にドパミン神経細胞での解析を進めている。 R1年度までに22q11.2DS患者iPS細胞由来ドパミン神経細胞では小胞体ストレス脆弱性や細胞骨格異常を呈することを見出していた。R2年度では、その分子基盤を探索するため、半定量プロテオーム解析を実施し、22q11.2DS患者ドパミン神経細胞で発現変化していたタンパク質群は"Protein processing in endoplasmic reticulum"のパスウェイに最も集積していることを見出した。本パスウェイは小胞体ストレス応答が包含されることから、小胞体ストレス応答シグナルについてさらに解析したところ、22q11.2DS患者ドパミン神経細胞では主要な小胞体ストレスセンサーのひとつであるPERKの顕著な発現低下とその下流シグナルの低下が生じていることを明らかにした。さらに、このPERK経路異常がR1年度に見出していた小胞体ストレス脆弱性や細胞骨格異常の表現型の分子基盤のひとつであることがわかった。本研究成果は英文雑誌EBioMedicineにて発表した(Arioka et al., EBioMedicine 63:103138, 2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究成果の報告もおこない、順調に進展していると判断した
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Strategy for Future Research Activity |
今後はPERKシグナルと神経細胞動態との関係性を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
R2年度は論文執筆と発表を優先したため、消耗品費の使用が少なくなった。繰り越し金額は同定したPERKシグナル低下の脳発達管理機構のメカニズム解明および数理モデル構築に使用する。
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Research Products
(3 results)