2019 Fiscal Year Research-status Report
表情認知に着目した大うつ病性障害と双極性障害の新たな鑑別法の創出
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19K08020
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
撰 尚之 広島大学, 病院(医), 助教 (20790067)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | うつ状態 / 表情認知 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで所属する研究機関では、曖昧表情を含めた表情判断課題を用い、脳の活性化の性差や、健常者を対象に、否定的な感情によって引き起こされる扁桃体の活性化が、最も際立った情報に対して処理能力を自動的に集中させ、連合記憶の符号化を妨げることを明らかにしてきた。 本研究では、表情認知課題を用いてうつ状態を呈する大うつ病性障害と双極性障害の患者の精緻な脳情報に基づいた鑑別法の創出するため、大うつ病性障害、双極性障害のうつ状態の被験者を対象に臨床症状を評価した後、表情認知課題(表情判断課題)を実施し、その間の脳活動をfMRIで撮像する。そこで得られた行動データおよび脳機能データを解析し、喜びや悲しみの間の表情認知課題を施行中の両疾患の脳活動の差異を明らかにし、脳機能データを用いて判別機を作成し、精度を確認することにある。 当該年度は、表情認知課題の実施準備を進めた。モーフィング技術で作成した喜び-悲しみの7段階の顔表情刺激を画面上に表示し、被験者にHappy/Sadの二択で答えさせ、さらにその答えの自信度を4段階で評価させるように設定した。4名の健常者を対象に課題の試行と予備データの解析を行い、課題の設定が本研究の目的において概ね適切であることを確認した。 次年度は、外部の医療機関を含めて募集した大うつ病性障害、双極性障害のうつ状態の被験者に対して課題を実施し、行動データと脳機能データを取得し、解析することを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動課題として、モーフィング技術で作成した喜び-悲しみの7段階の顔表情刺激(Happy100%・Sad0%、Happy70%・Sad30%、Happy60%・Sad40%、Happy50%・ Sad50%、Happy40%・Sad60%、Happy30%・Sad70%、Happy0%・Sad100%)を画面上に表示し、被験者にHappy/Sadの二択で答えさせ、さらにその答えの自信度を4段階(1;弱い自信-4;強い自信)で評価させるように設定した。 健常者を対象に予備データを集積し、行動データの解析を行った。Y軸は「Sad」選択肢の割合を、X軸は「Sad」の刺激強度を表すと、当初の予測の通り反応パターンはシグモイドワイブル関数が適合した。 次年度は、大うつ病性障害、双極性障害のうつ状態の患者に対して課題の実施およびデータの取得を目標としており、概ね目標を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
期間中に大うつ病性障害、双極性障害の患者を募集し、臨床症状を評価した後、表情認知課題(表情判断課題)を実施し、その間の脳活動をfMRIで撮像する。得られた行動データおよび脳機能データを解析し、喜びや悲しみの間の表情認知課題中の大うつ病性障害と双極性障害の間で脳活動の差異を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
被験者に対する謝金、人件費、旅費などを計上していたが、予備データの集積にとどまり、当該年度は用いなかった。大うつ病性障害、双極性障害のうつ状態の患者に対して課題の実施およびデータの取得、公の場での発表を検討しており、次年度以降に使用する予定である。
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