2021 Fiscal Year Annual Research Report
表情認知に着目した大うつ病性障害と双極性障害の新たな鑑別法の創出
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19K08020
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
撰 尚之 広島大学, 病院(医), 助教 (20790067)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | うつ状態 / 情動バイアス / 表情認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的であるうつ状態の精緻な鑑別法を創出するため、2019年度はモーフィング技術で作成した喜び-悲しみの7段階の顔表情刺激を画面上に表示し、被験者にHappy/Sadの二択で答えさせ、さらにその答えの自信度を4段階で評価させる情動バイアス課題を作成し、4名の健常者を対象に課題の試行と予備データの解析を行った。続く2020年度は情動バイアス課題に加えて、表情認識課題として6表情(怒り、嫌悪、恐怖、喜び、悲しみ、驚き)に関して、ひとつの表情につき8段階の強度の刺激画像を作成し、10名の若年男性を対象に、課題および基礎検討を行い、簡便に行える情動認識課題を開発した。最終年度である2021年度は、うつ状態とこれらの課題成績との関連を検討するため、うつ病の診断基準は満たさないものの抑うつ症状を有する(BDI-IIベック抑うつ質問票で18点以上)高抑うつ者26名と、抑うつ症状を有しない(BDI-IIベック抑うつ質問票で9点以下)低抑うつ者81名を対象に情動バイアス課題と表情認識課題を実施した。その結果、情動バイアス課題では両群に有意な差はみられなかったが、表情認識課題を用いた検討において、高抑うつ群は低抑うつ群と比較して、喜びの表情を認識する能力が有意に低下していることが明らかになった。喜びの表情を用いた表情認識課題による情動認知機能の客観的測定が、うつ状態の評価に有用である可能性が示唆された。
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