2021 Fiscal Year Research-status Report
The effect of anesthesia to ECT time about for seizure quality and clinical efficacy, tolerability
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19K08031
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
奥川 学 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80343672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 正樹 関西医科大学, 医学部, 准教授 (00351510)
吉村 匡史 関西医科大学, リハビリテーション学部, 教授 (10351553)
諏訪 太朗 京都大学, 医学研究科, 助教 (10518153)
木下 利彦 関西医科大学, 医学部, 教授 (20186290)
西田 圭一郎 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40567567)
嶽北 佳輝 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70548403)
川島 啓嗣 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (40848222)
青木 宣篤 関西医科大学, 医学部, 助教 (80912865)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ECT / Anaesthesia / AETI / Seizure / Propofol / Time interval / electroencephalogram |
Outline of Annual Research Achievements |
【はじめに】電気けいれん療法(ECT)は、その奏功率は難治例が対象であるにも関わらず、精神科領域の治療としては最大の効果量を誇る。しかし、ECTに用いられる麻酔薬の多くは抗けいれん作用を有しており、最小限の用量で導入しつつ発作発現を妨げないことが求められる。その背景から、近年けいれん発作発現の成否を決定する重要因子として麻酔薬投与から通電までの時間(AETI)に注目が集まっており、我々は「AETIが発作の質および臨床的有効性・忍容性に及ぼす影響」を解明するための無作為化比較試験を行っている。 【方法】{AETI=150秒}と{AETI=240秒}の2群に25名ずつ無作為割付する。麻酔薬はプロポフォールを用い、刺激部位は両側頭、刺激方法は年齢半分法とした。発作の質の評価を毎ECTセッションで行い、発作の質を0-3点で包括的に評価できるSQC尺度を用いた。有効性の評価には臨床的全般改善度であるCGI-S、統合失調症にPANSS、大うつ病性障害にHAM-D、躁病にYMRS、緊張病にBFCRSを使用し、認知機能障害の評価にはMMSE、せん妄の評価にはICDSC、忍容性にはUKU副作用評価尺度を用いた。 【結果】2021年12月での解析終了者(n=17)の結果は、{AETI=150秒}群がSQC 1.85点、{AETI=240秒}群はSQC 2.13点であり、2群間に有意差を認めた(p = 0.002)。また、刺激設定の変更回数も{AETI=150秒}群の方が{AETI=240秒}群よりも多く、施術後のせん妄リスクも高かった(p=0.045)。 【考察】中間解析ではあるものの、発作の質を良化させるにAETIが長いことが望ましく、忍容性においても同様の結果であった。 本研究は第117回日本精神神経学会学術総会において、優秀発表賞と精神神経学雑誌投稿激励賞を受賞している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、研究協力施設である公立豊岡病院精神科、京都大学病院精神科神経科、関西医科大学総合医療センターの3施設で本研究を開始する予定であったが、上記3施設ににおけるECT施術者の人事異動や病院施設の工事竣工などにより、当初のスケジュールよりも開始が遅れた。 加えて、COVID-19のパンデミックに伴い、ECT施術時の過換気手技などが問題視されて麻酔科との連携が困難となったり、人的資源の制限がかかることが度々あった。 現在、上記3施設で再度調整を行い、年間目標設定症例である70症例に一刻も早くに到達できるよう鋭意努力している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、研究計画の遅れはあるものの、関西医科大学総合医療センターでは厳格な規定の下で順次症例を集積中である。COVID-19などの趨勢にも影響を受けるものの、同様に協力2施設で研究が再開されれば、よりRobustな解析が可能となり、理想的な有効けいれん発作を誘発するため試金石となる臨床試験が期待できる。 2022年度も各学会で我々の研究チームは複数の研究報告を予定しており、本研究における画一的な技術基盤の構築を目指したECT技法の啓蒙活動も継続していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症流行拡大以降、担当施設において慢性的な麻酔科のマンパワー不足が生じており、体制整備やリクルートが大幅に遅延しているため
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