2020 Fiscal Year Research-status Report
心肺運動負荷検査指標に基づいた運動プログラムによるうつ病の個別化治療
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19K08048
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中川 伸 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60360905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山形 弘隆 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10549934)
陳 冲 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70783067)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | うつ病 / 運動療法 / 心肺運動負荷検査 / 別化治療 / 補完療法 / 神経認知機能 / 双極性障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病の薬物・精神療法が進歩し一定の効果を納めてきているが、日常・社会生活を十分に行えない多くの患者が存在する。このため、新たな治療法の開発が求められている。運動療法は今までの研究である程度有効性が実証されている。しかし、どの程度行えば良いのかなどの基準が曖昧である。私達はこれまでに心臓リハビリテーションで用いられている心肺運動負荷検査(CPX)を用いて個々の患者の運動量を決定し、今まで報告されてきた運動負荷よりもかなり少ない運動量でうつ状態を改善することを確認してきた。本研究はこの方法が多くの患者で有効であるのか、どのような患者に有効であるのか、その予測因子はどのようなものであるかを検討するものである。 研究対象者の選択基準をDSM-5診断基準における「抑うつ障害群」「双極性障害および関連障害群」を満たすものとし、除外基準をうつ症状がHAM-D 23点以上、躁症状がYMRS 5点以上、定期的な運動を行っていることなどとした。研究デザインは前向き介入研究、無作為化並行群間比較のクロスオーバー試験である。CPXにて個別の運動量を設定し、エアロバイクでの週に2回、8週間の運動療法を行うこととした。主要評価項目は試験開始時(介入前)と8週間後(介入後)に評価したうつ状態に関する評価SIGH-Dであり、副次評価項目として自覚的なうつ症状評価(BDI-II)、自覚的な精神状態評価(STAIなど)、神経認知機能検査(Nバック課題など)を設定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年6月にIRBに申請し、内容の修正などを求められ、2020年1月に採択となった。この間、評価表の取りまとめ、研究遂行のための人員配置などを進めていたが、リクルートを開始し始めた同年3月頃より国内でもcovid-19感染拡大が懸念され、運動を行い呼気量が上がる研究内容からリクルートを中止した。一方、その後の半年ほどで感染防御に関する知識、対策は増え、徐々にリクルートを再開しているところである。かように外来、病棟などにおける感染防御は徹底され、さらにはCPXにおける感染防御も行われた。エアロバイクで運動療法が行えるように個別にパーティションを設置することで安全に研究が遂行できる環境を整えることが出来てきた。一方、運動療法は週に2回は来院する必要が生じてくるため感染を懸念する被験者候補のリクルートに難渋しており、進捗状況はかなり遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
変異株の出現など未だcovid-19感染制御が未だ困難な状況にある。一方、ワクチン接種が進むことにより、より安全に研究が遂行できる環境になることは予想される。被験者に安全に施行できる説明を丁寧に行うことにより、強力にリクルートを進めていく。当初予定していたのとは、実務的な内容が異なってきているが、さらなるシミュレーションも行っていく。
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Causes of Carryover |
本年度はcovid-19感染拡大により、被験者候補のリクルートを一時的に中止するなどしていたため、当初予算より実支出額が減少した。次年度は感染防御を徹底した中、リクルートを強力に進めていく予定である。
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