2021 Fiscal Year Annual Research Report
双極性障害における気分変動の神経基盤についての多角的・縦断的研究
Project/Area Number |
19K08049
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
織部 直弥 九州大学, 医学研究院, 特別教員 (70730498)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 双極性障害 / 聴性定常反応 / 脳波 / 縦断研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
双極性障害患者33名、健常者45名から20Hz、30Hz、40Hz、80Hzクリック音刺激を呈示した際の脳波を取得した。そのうち、複数回の検査を施行出来た患者は4名であった(3回検査出来た症例が2名、2回検査出来た症例が2名)。 横断的には、双極性障害患者では80Hz刺激に対するパワー(t=0.25, p=0.03)と80Hz及び40Hz刺激に対する位相同期性(t=2.0, p=0.05;t=2.9, p=0.006)が健常者に比べて有意差に減少していた。 また、縦断的なデータがとれた患者において、40Hz刺激に対する位相同期性と躁症状評価尺度んの間に正の相関がみられた(n=10, rho=0.83, p=0.03)
統合失調症においては40Hz刺激に対する位相同期性の障害がみられることはよく知られているが、双極性障害においては40Hz以外の周波数に対する反応も障害がみられることがいくつかの先行研究で報告されていた。今回の結果は40Hz及び80Hz刺激に対する位相同期性の障害が認められており、これは先行研究と合致した知見であった。一方で双極性障害は、躁病相とうつ病相という極端な気分症状を繰り返す病態であり、その経過の中で聴性定常反応がどのように変化がみられるか、そしてそれが症状とどのような関連があるかについては知られていなかった。今回の研究では同一の患者で複数回の計測を行い、その結果、躁症状と40Hz刺激に対する位相同期性が正の相関を持っていることが示唆された。このことは今後の双極性障害の研究を進めていく中で、病態解明に向けた大きな意義をもつと考えられる。
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