2021 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症死後脳における Pro to Glu 経路の分子プロファイル解析
Project/Area Number |
19K08053
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
國井 泰人 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00511651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 瑞城 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80396663)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 死後脳 / プロリン / グルタミン酸 / Proline oxidase / Prolidase |
Outline of Annual Research Achievements |
福島精神疾患死後脳バンク及び新潟大学脳研究所にて凍結保存された死後脳(統合失調症24例、双極性障害8例、健常対照36例)のサンプルセットを用いて、前頭皮質(PFC;BA10)、上側頭回皮質(STG;BA22)における、Aldehyde dehydrogenase 4 family member A1(ALDH4A1)のタンパク質発現量の解析を行った。ALDH4A1はプロリン代謝に関わる酵素の一つであり、以前に行った統合失調症と健常群の死後脳における網羅的なタンパク質発現解析によって、統合失調症死後脳の前頭で有意に増加していた。今回はELSA法を用い、上記の脳領域におけるALDH4A1のタンパク発現解析を行ったところ、PFC、STGにおいて、統合失調症及び双極性障害群でALDH4A1の発現量が有意に高かった。また、プロリン代謝に関わる分子におけるSNPがALDH4A1の発現量に及ぼす効果を解析したところ、PFCにおいてP5C synthetaseの遺伝子ALDH18A1のSNPs(rs10882639)とProlidaseの遺伝子PEPDのSNPs(rs33823,rs153508)と有意な相関がみられ、それぞれアレル依存性を認めた。 さらに、同サンプルセットを用いて、プロリンをグルタミン酸へ代謝するプロリン代謝経路に含まれるProline oxidase(PRODH)とProlidase(PEPD)のタンパク質発現量をELISA法を用いて測定し比較した。その結果、STGにおけるPRODH発現量が統合失調症において有意に低く、PFCにおけるPRODH、PFCとSTGにおけるPEPDに有意な変化はないことがわかった。また、PRODHは6、PEPDは18のSNPについてそれぞれのタンパク質発現量との関連について検討したが、cis-actingな影響は見られなかった。
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