2019 Fiscal Year Research-status Report
EFHC1およびICK遺伝子変異によるてんかんに共通する発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K08058
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 俊光 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (20373318)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | てんかん / EFHC1 / ICK / 若年性ミオクロニーてんかん / JME |
Outline of Annual Research Achievements |
若年性ミオクロニーてんかん(JME)は思春期に発症し、ミオクロニー発作、強直間代発作などを特徴とする最も頻度の高い特発性てんかんの一つである。申請者らは、第6番染色体短腕6p12から原因遺伝子の一つEFHC1遺伝子の同定に成功した(Suzuki et al., Nat. Genet., 2004)。また、申請者を含む研究チームおよび複数のグループから、新たなJME疾患変異の報告が続いている(Medina et al., Neurology, 2008)。さらに最近申請者らは、腸管細胞キナーゼをコードするICK遺伝子の変異を複数のJME家系から発見し報告した(Bailey et al., N. Engl. J. Med. 2018)。両遺伝子のノックアウトマウスは共にてんかん症状を示し、これら両タンパクが脳室内壁を覆う上衣細胞で強く発現がみられていることから、共通の発症メカニズムが示唆される。本研究は、EFHC1およびICK喪失によるてんかん発症メカニズムの解明を目的としている。本年度は、Efhc1喪失マウスがIck喪失マウスで観察されたイソフルラン誘導性の強直間代発作を引き起こすかどうかを検証するために、我々の既報に従い、Efhc1喪失マウスのイソフルランに対する痙攣発作閾値を対照群と比較検討した。使用動物数が少ないため、さらに検討する必要がある。また、脳室上衣細胞のみでEfhc1を喪失させたマウスにおいてもEfhc1を全身で喪失させたマウスで観察される線条体での抑制性神経細胞数の変化を示すかどうかを評価するために、動物の作出および脳標本の作製を行った。脳室の内壁を覆う上衣細胞におけるEfhc1の喪失が、Efhc1を全身で喪失させたマウスで観察される脳室拡大と同程度の異常を引き起こし再現することを見出した。線条体における経細胞数の変化については引き続き検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は本研究で用いるEfhc1-floxedマウス、Efhc1遺伝子喪失マウスおよび細胞種特異的にCreリコンビナーゼが発現するトランスジェニックマウスをすでに保有していることから、使用するマウスの準備、実験の実施について計画通り実施されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画どおり、Ick喪失マウスにおける自然誘発性のミオクロニー発作などが再現されるか検討し、これら表現型を引き起こす細胞種を同定し、てんかん発作発症の因果関係を追及する。また、Efhc1遺伝子喪失マウスがIck遺伝子喪失マウスで観察されたイソフルラン誘導性の強直間代発作を引き起こすかどうかも引き続き動物数を増やし検討する。また、Efhc1-コンディショナルマウスおよびIck遺伝子喪失マウスがEfhc1遺伝子を全身で喪失させたマウスで観察される自然誘発性のミオクロニー発作や線条体において抑制性神経細胞数の変化を示すかどうかも検討する。
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