2019 Fiscal Year Research-status Report
膵癌細胞に発現したCRH系ペプチドは癌の進行と情動に介在するか
Project/Area Number |
19K08063
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 菜保子 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (40457750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 貴 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10261629)
元井 冬彦 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (30343057)
佐藤 冨美子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40297388) [Withdrawn]
千葉 詩織 東北大学, 医学系研究科, 助手 (60823391) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膵癌 / CRH / 情動 / ストレス / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は膵癌術後患者を対象とし、免疫・ストレスに重要な役割を担うCorticotropin-Releasing Hormone (CRH)系分子の膵癌細胞組織における発現と自律神経内分泌系を介した癌の進行および情動との関連を臨床的に明らかにすることを目的とする。 膵癌患者を対象とした先行研究において、患者のQuality of Life (QOL)は術後生存の予測因子のひとつである可能性が示されている。抑うつはCRHが関与する情動反応のひとつであり、QOLを構成する要素でもある。癌患者の抑うつは一般人と比較し多く、CRHのreceptor 1の刺激は不安を惹起することがすでに明らかにされており、癌患者の抑うつは単なるメンタリティの問題ではなく、身体状況が脳へシグナル伝達された結果の情動反応である可能性が示唆される。他癌ではCRHによる癌増殖等の関与も報告されているが膵癌においてはまだ未解明である。本研究により膵癌におけるCRHの作用の方向性を臨床的な解明は、癌における心身相関を検証するための重要な根拠のひとつとなりうる。 本研究では前向きコホート研究によって臨床症例による膵癌組織に発現したCRH系分子それに関連した生理学的指標、癌の進行と情動、QOLなどの患者のストレス関連症状の介在可能性の検討を行う。調査は東北最大の膵癌外科治療のhigh volume centerで実施し、膵癌に対する一定の治療条件のもとデータを蓄積する。 令和元年度は、研究協力体制の最終調整および東北大学大学院医学系研究科倫理審査会の承認(IRB 2019-1-122) を得て適格基準を満たす患者に調査を依頼、被験者として登録を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は倫理審査を経て現在は被験者の登録および初回~2回目調査を進めている段階である。令和元年度は調査の実施に向けた最終調整に最も注力したが、本研究の基盤となるこれまでの関連研究をまとめ、国内外に向けて学術論文・学会報告として公表した。同時に関連研究の動向に関する最新知見も収集し、本研究のエビデンスを高めるための活動も実施した。研究代表者の所属異動に伴い被験者登録が停止した期間があり、登録患者数の蓄積は当初予定よりは少ないが調査は進んでおり、研究自体は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は被験者の登録および追跡調査を引き続き実施してゆく。 過去症例をもとにしたCRHと予後に関する分析および関連研究における解析を行い、得られた結果は速やかに国内外の学会および論文等で報告する。
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Causes of Carryover |
(理由)調査に関わる最終調整に時間を要したこと、また研究代表者異動に伴い患者登録を休止した期間が生じたため、調査および関連諸経費として次年度使用額が生じた。 (使用計画)調査および研究遂行に必要な情報収集にかかわる経費として使用する。
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Research Products
(13 results)