2019 Fiscal Year Research-status Report
雌を中心とした治療抵抗性モデルによる恐怖関連疾患の新規治療標的分子の探索
Project/Area Number |
19K08080
|
Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松田 真悟 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (80723246)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 恐怖記憶 / 恐怖消去 / 性差 / PPARγ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者らは、恐怖関連疾患の有病率が女性で高いことや思春期以降に増加することに着目し、雌マウスを中心とした2つの治療抵抗性動物実験モデルを開発し、さらに、これら2つのモデルと網羅的遺伝子発現解析法、バイオインフォマティクス解析を組み合わせ、獲得した恐怖記憶の忘却(恐怖消去)に関わる薬物候補を得ている。本年度の研究目的は、得られた治療薬候補の中から、治療抵抗性を示す雌の恐怖消去を促進する薬物を見つけ出すこと、また、その薬物効果に関与する脳内神経機構を解明するのに必要な脳内薬物投与法を確立することである。 成果として、peroxisome proliferator-activated receptor gamma(PPARγ)のアゴニストであるロシグリタゾン(5 mg/kg)を腹腔内投与することで雌の恐怖消去が促進することを見出した。また、雌では薬物を溶解させる溶媒であるDMSOや生理食塩水が恐怖消去をそれぞれ促進、抑制する可能性も得られた。さらに、背側海馬、腹側海馬、下辺縁皮質もしくは扁桃体外側基底核に留置しておいたカニューレを利用して薬物を慢性的に投与できることを雌雄マウスで確認し、来年度以降の実験を遂行するのに必要な手技の確立に成功した。 これまで恐怖消去においてPPARγの関与は調べられておらず、本研究の成果は新たな恐怖消去関連受容体の発見に繋がるものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた薬物候補の中から、目的に掲げた雌の恐怖消去を促進する薬物を見出し、また、脳領域特異的薬液投与法の確立に成功したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
確立した脳領域特異的薬液投与法を利用し、ロシグリタゾンの恐怖消去促進効果に対して中心的な役割を持つ脳領域を特定するとともに、ロシグリタゾンの効果がPPARγを介した効果かどうかについて薬理学および遺伝子工学的手法により検証する。また、当初の計画にはなかったが、DMSOによって恐怖消去が促進する結果が得られたので、この脳内分子機構も探る予定である。さらに、計画していたデキサメタゾンの脳内投与実験も遂行する。
|
Causes of Carryover |
200円未満のため、実験に必要は物品等の購入に使用しにくかったため、来年度の助成金と合わせて、より有効に活用する。
|