2020 Fiscal Year Research-status Report
ω-3多価不飽和脂肪酸摂取による抑うつ・情動行動制御機構の解明
Project/Area Number |
19K08086
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
竹内 絵理 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第四部, リサーチフェロー (70712777)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ω-3多価不飽和脂肪酸 / 情動行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
不安、抑うつなど負の情動は精神疾患の病態に影響を与えると考えられており、これら負の情動と体内環境は双方向性に作用しあうことが示唆されている。多くの疫学調査から体内に摂取されたω-3多価不飽和脂肪酸はうつ病の症状を改善させることが示されているが、その作用メカニズムについては不明であった。本研究では、ω-3多価不飽和脂肪酸を食摂取したマウスの情動行動を調査し、行動変化を生じさせる神経機構について明らかにすることを目的とする。 これまでの研究成果において、高ω-3餌摂取による抗うつ様作用には側坐核ドパミン神経系が関与することを報告してきた。先行研究において同餌を摂取したマウスは恐怖記憶が減弱することが示されている。そこで、該当年度では高ω-3餌摂取による恐怖記憶の減弱対する側坐核ドパミン神経系の関与について調査した。高ω-3餌で飼育したマウスの側坐核にドパミン受容体アンタゴニストを微量投与し恐怖条件付け試験を行ったところ、高ω-3餌で飼育されたマウスは対象餌で飼育されたマウスと比較して恐怖記憶が有意に減弱した。このことから、高ω-3餌摂取による恐怖記憶の減弱と抗うつ様作用にはω-3多価不飽和脂肪酸がそれぞれ別の神経回路に作用することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
緊急事態宣言を受けて研究活動を中断したことにより当初の研究計画に大幅な変更が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
高ω-3餌摂取による抗うつ様作用の性差についてさらなる知見を得るため、得られたサンプルを用いて生化学的解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
試薬や消耗品の購入が予定より少なかったことおよび出張がなくなり旅費の使用がなかったため次年度使用額が生じた。次年度に抗体やキットの購入および研究成果を発表するための論文投稿および英文校正の費用として使用する予定である。
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